横倉甚五郎

横倉甚五郎：新選組隊士、波乱の生涯

横倉甚五郎は、天保5年（1834年）に武蔵国多摩郡堀ノ内村（現在の東京都八王子市）に生まれました。剣術は天然理心流を修めています。

元治元年（1865年）、新選組が隊士を募集した際、局長の近藤勇に応じて入隊。慶応3年（1867年）11月の油小路事件では、大石鍬次郎らと共に現場へ出動しています。

戊辰戦争と箱館戦争

慶応4年（1868年）に戊辰戦争が勃発すると、横倉は鳥羽・伏見の戦い、甲州勝沼の戦い、会津戦争と転戦。その後、仙台で榎本武揚率いる艦隊と合流し、蝦夷地（現在の北海道）へ渡りました。明治2年（1869年）の箱館戦争では、横倉らが籠る弁天台場が新政府軍に降伏。

降伏後、横倉は弁天台場にて謹慎を命じられます。しかし、元京都見廻組の今井信郎らと共に、坂本龍馬と伊東甲子太郎暗殺に関与した疑いをかけられ、同年11月9日に東京の糾問所へ送検され、取り調べを受けることとなりました。

獄死と辞世の句

明治3年（1870年）8月15日、横倉甚五郎は獄中で亡くなりました。享年37歳。

弁天台場降伏時に詠まれた辞世の句が残されています。

義のために つくせしことも 水の泡 打ちよす波に 消えて流るゝ

この句は、自身の信念のために尽くしてきたことが、まるで水の泡のように消え去ってしまう無常観を表していると言えるでしょう。

新選組の一隊士として、戊辰戦争を戦い抜き、最後は暗殺の嫌疑をかけられ獄死するという、波乱に満ちた横倉甚五郎の生涯は、幕末という激動の時代を生き抜いた人々の生き様を今に伝えています。

もう一度検索