横山松三郎

横山松三郎について

横山松三郎（よこやま まつさぶろう）は、1838年11月26日に択捉島で生まれ、1884年に亡くなるまでの間に幕末から明治初期にかけて活躍した写真家および洋画家です。彼は文六という名でも知られており、その業績は後の世に大きな影響を与えました。松三郎の作品は多くが重要文化財に指定されており、特に彼が撮影した江戸城の写真などは高く評価されています。

生い立ちと家族

松三郎は、祖父と父が高田屋嘉兵衛に仕えていた漁場管理者の家系に生まれました。彼には5人の兄弟があり、家族と共に箱館で生活を始めました。1848年に父が亡くなった後、松三郎は家族と共に箱館へ戻ります。そこで、彼は呉服屋で修行し、夜間は絵を描くことに情熱をかけていました。

写真との出会い

1854年、ペリーの米艦隊が箱館に来た際、松三郎は初めて写真という技術に触れます。この出来事は彼の人生を大きく変えることになります。1856年には自身が商店を開きましたが、体調を崩し、商いは長続きしませんでした。その後、彼は洋画や写真技術をロシア人や外国人から学ぶ機会を得るようになります。

学びと成長

1861年にはロシア領事館で洋画を学び、1862年に海外で写真技術を学ぶために中国の上海に渡航しました。1865年、松三郎は再度上京し、下岡蓮杖から写真術や石版術を学び、その技術を箱館で広めました。

写真館の設立と活動

1868年に東京で初めて写真館「通天楼」を開設し、多くの肖像写真を撮影しました。その後、松三郎は箱館戦争の際には母を見舞い、気持ちを新たに多くの自然や社寺の写真を撮影しました。1871年には荒廃した江戸城を撮影し、蜷川式胤がその写真を編集して『旧江戸城写真帖』としてまとめました。

技術革新と指導

1873年、松三郎は通天楼に洋画塾を設け、多くの後進を育てました。1877年には当時まだ日本でほとんど知られていない様々な写真技法を取り入れ、1878年には日本初の空中写真を撮影しました。彼は「写真油絵」という新しい技術を開発し、物の写実表現にこだわった作品を数多く残しました。

晩年と遺産

1881年には肺病が再発し、陸軍士官学校を辞職した後、銀座に『写真石版社』を設立しました。1884年、松三郎は46歳で没し、その遺志は弟子たちによって受け継がれました。彼の技術は後世に影響を与え、特許として登録されるまでになりました。今日、彼の作品は多くの美術館や博物館に残されており、その技術や影響力を後世に伝えています。

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