横山林二

横山 林二の生涯

横山 林二（よこやま りんじ、1908年12月20日 - 1973年2月25日）は、日本の自由律俳句の詩人として知られています。本名は吉太郎で、東京都に生まれ、貧しい家庭環境で育ちました。彼の父は露天商で、母も日雇い労働者という背景もあり、兄姉も芸者や女工として働いていました。

彼は新網の特殊小学校から専修商業学校を経て、早稲田大学政経学部に入学しました。14歳の頃には関東大震災を体験し、その影響から社会に目を向けるようになりました。このことがきっかけとなり、彼は自身の学生時代から社会性を持った俳句に関心を持つようになります。1923年には荻原井泉水が選者となる自由律俳句欄に初めて応募し、翌年にはその流派「層雲」の一員となります。

プロレタリア俳句運動への参加

横山は層雲の中で活躍し、栗林一石路や橋本夢道と共にプロレタリア俳句運動に転身しました。しかし、1930年には層雲を離れ、「尖行」を設立し、その後、仲間と共に「俳句前衛」としても活動を続けました。この頃、彼の詩作は社会的な問題に焦点を当てたものが多く見られましたが、1941年には新興俳句弾圧事件が起こり、彼は逮捕されてしまいます。

戦後の活動と影響

1943年に海を越えて出所した横山は、肺結核を抱えた状態であったため、戦前のような活動は行うことが困難でした。それでも彼は新俳句人連盟を結成し、古沢太穂の「道標」に参加することで、自由律俳句の倫理観を表現し続けました。安保闘争やベトナム戦争に関する詩も残し、彼の作品は不屈の精神を反映しています。

生涯にわたり、「有季定型俳句の経験なし」と自認していた彼は、形式に囚われず自由な発想で社会的メッセージを詠み続けました。1973年に彼は喀血による窒息で60歳過ぎで亡くなりました。

追悼と評価

彼の死後、横山林二を偲ぶ特集が『俳句人』の1973年6月号に掲載されました。その号には彼の遺作「喪失」が巻頭に掲載され、盟友であった橋本夢道や古沢太穂、さらに金子兜太らが貢献しました。彼の作品は、自由律俳句を通じて社会問題に目を向け、現代においても重要なメッセージを持つものとして評価され続けています。

結論

横山林二の生涯は、彼の作品と同様に、困難な時代背景の中での強い意志と社会性を示しています。彼の詩は、自由律俳句の重要性を再認識させるものであり、他者へ向けたメッセージを伝える力を持っています。

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