横山篤美

横山篤美について

横山篤美（よこやま あつみ）は、明治35年（1902年）に長野県南安曇郡安曇村（現在の松本市安曇）橋場に生まれ、平成6年（1994年）12月に92歳で亡くなった、農民、杣人、そして郷土史家です。

生涯

横山篤美は、尋常小学校を卒業後、農業や林業に従事しながら、その傍らで郷土の歴史資料の発掘や研究に情熱を注ぎました。彼の研究対象は、主に地元である旧安曇村を中心とした松本盆地一帯に及びます。その探求は深く、地域に根ざした視点から歴史を紐解き、多くの人々に地域の歴史と文化を伝えました。

『安曇村誌 歴史上』の「あとがき」には、「平成六年一二月、本巻の完成を待たずに九二歳で亡くなられた」と記されており、その生涯を郷土史研究に捧げたことが伺えます。

著書

横山篤美は、数多くの著作を世に残しました。以下に主な著書を記します。

『乗鞍岳麓 湯の里白骨（白船）その自然と民俗』（1970年）: 白骨温泉の自然と民俗について詳細に記述した書籍です。
『上高地開発史』（1971年）: 上高地の開発の歴史を辿った貴重な記録です。
『信州塩尻赤羽家 元禄大庄屋日記』（1974年）: 塩尻の豪農である赤羽家の元禄時代の記録を解説したものです。
『上高地物語』（1971年）: 上高地の歴史と文化を物語形式でまとめた書籍です。
『波田堰百年史』（1975年）: 波田堰の100年の歴史をまとめたものです。
『湯の里白骨』（1980年）: 白骨温泉に関する研究をさらに深めた一冊です。
『上高地物語―その歴史と自然』（1981年）: 上高地の歴史と自然を多角的に考察した書籍です。
『北アルプス寒村物語 実録 杣人の村』（1982年）: 北アルプスの山村で暮らす杣人たちの生活を記録した貴重な文献です。
『ふるさとことわざ集―人生の道しるべ』（1984年）: 地域に伝わることわざを集め、解説を加えたものです。
『野麦の道』（1986年）: 野麦峠を舞台にした歴史を考察した書籍です。
『籾の乱－百姓一揆「加助騒動」の真相』（1987年）: 江戸時代の百姓一揆「加助騒動」の真相に迫った意欲作です。
『山人（やもど）のムラ』（1989年）: 山で働く人々、山人の生活に焦点を当てた書籍です。
『古文書難語辞典』: 古文書を読む上で難解な言葉をまとめた辞典です。

分担執筆

『安曇村誌 歴史上』（1997年）: 安曇村の歴史を詳細に記録した村誌です。
『安曇村誌 歴史下』（1998年）: 安曇村の歴史を詳細に記録した村誌です。

稿本

『入四ヶ村書付』: 30巻に及ぶ膨大な史料と解説をまとめたものです。3700件を超える史料が収録されており、地域の歴史を研究する上で非常に重要な資料となっています。

横山篤美の著作は、地域の人々だけでなく、歴史研究者にとっても貴重な資料であり、郷土史研究に多大な貢献をしました。彼の情熱と探求心は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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