松本盆地

松本盆地の詳細

松本盆地は、長野県の中央部に位置する、松本市街地とその周辺に広がる盆地です。梓川と犀川によって、松本市・塩尻市周辺の松本平（筑摩野とも呼ばれる）と、安曇野市周辺の安曇平（安曇野とも呼ばれる）に分かれています。この地域は、県歌「信濃の国」に歌われる「四つの平」の一つであり、その中でも最大の面積を誇ります。圏域人口は約40万人に達し、長野県内でも有数の人口密集地帯となっています。

地理

松本盆地の標高は500mから800mで、かつては海の底であったとされています。周囲には北アルプス（3000m級）、上高地や美ヶ原（2000m級）などの山々がそびえ立ち、壮大な景観を作り出しています。盆地内には、梓川や奈良井川などが流れ、扇状地や河岸段丘が形成されています。特に、景勝地として知られる安曇野もこの盆地の一部です。交通網も発達しており、国道19号、国道147号、国道158号、JR篠ノ井線、JR大糸線、長野自動車道などが地域を通過しています。

地学的知見

松本盆地は、フォッサマグナの西縁部に形成された地溝性の盆地です。糸魚川静岡構造線が南北に貫通しており、西側には北アルプスが、東側には中央高地帯が位置しています。盆地の東縁には松本盆地東縁断層群が走り、この断層帯に沿うように高瀬川が流れ、北アルプスから流れ出す梓川と合流して犀川となります。犀川は犀川丘陵帯を蛇行しながら流れ下っています。また、盆地の西縁には信濃坂断層や常念岳起震断層が南北に走っています。しかし、常念岳起震断層は地殻変動の境界ではないとされています。

新生代第三紀の別所層や青木層が分布する旧四賀村の保福寺川河床からは、かつてこの地域が海底であったことを示す化石が多数発見されています。鰭脚類のアロデスムスやマッコウクジラの全身骨格化石、ウチムラユイガイダマシ、シロウリガイなどがその例です。

断層帯と地震

糸魚川静岡構造線上に位置するため、松本盆地には多くの断層が存在し、地震発生の記録も数多く残っています。特に松本盆地東縁断層群や牛伏寺断層は、地震の発生確率が高い断層として注目されています。これらの断層帯は、南部で岡谷断層群や諏訪断層群へと続いています。

松本盆地とその周辺を震源とする主な地震

762年：美濃・飛騨・信濃 M7.0以上
841年：松本 M6.5
1714年：信濃小谷 M6.0
1725年：高遠・諏訪 M6.0～6.5
1791年：松本 M6.0
1858年：信濃大町 M5.7
1890年：生坂村から長野市大岡樋ノ口沢付近 M6.2
1918年：大町地震 M6.1およびM6.5
1986年：旧美麻村、小川村、信州新町の境界付近 M5.9
1998年：上高地付近 M5.6
2011年：松本 M5.4
2014年：長野県神城断層地震 M6.7

これらの地震記録は、松本盆地が活発な地殻変動帯に位置していることを示しています。

該当市町村

松本平：松本市（梓川地区を除く）、塩尻市、山形村、朝日村
安曇平：安曇野市、松本市（梓川地区）、大町市、池田町、松川村

ただし、いずれの市町村も山間部を除きます。

松本テレビ・FMラジオ中継放送所

松本市は、親局である美ヶ原の山陰に当たるため、早くから市内向けの中継局が設置されてきました。長野県内のテレビ中継局では、最も早くUHFに切り替えられた局であり、1973年3月には全局がUHFに統一されました。2011年7月24日のアナログ放送停波以降は、デジタル放送に移行しています。また、FMラジオ放送の送信設備も設置されています。

関連項目

信濃の国
四つの平
長野盆地（善光寺平）
佐久盆地（佐久平）
伊那盆地（伊那谷、伊那平）
安曇野
筑摩野
松本地域
松本広域連合
松本市
SBC松本[[放送局]]（中波放送中継局置局）
NHK島立ラジオ放送所（同上）

外部リンク

長野県の地学：長野県理化学会 地学部会
糸魚川－静岡構造線活断層：地震情報サイトJIS
糸魚川静岡構造線活断層系・松本盆地南部地域の詳細断層地形判読：活断層研究会
松本盆地西方の山間生活圏における梓川断層群と崩壊：信州大学環境科学研究会 環境科学年報24:79-86(2002) (PDF)

松本盆地は、豊かな自然と多様な歴史を持つ地域であり、今後もその動向が注目されます。

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