横廠式ロ号甲型水上偵察機

横廠式ロ号甲型水上偵察機

横廠式ロ号甲型水上偵察機（よこしょうしき ろごうこうがた すいじょう ていさつき）は、日本海軍において重要な役割を果たした水上偵察機です。この機体は、横須賀海軍工廠（通称：横廠）によって開発され、1923年12月には「横廠式水上偵察機」と改名されました。

概要

ロ号甲型は、第一次世界大戦後に輸入された多くの航空機に応える形で、その開発が始まったものです。設計の主担当は馬越喜七大尉で、彼の設計に中島知久平大尉の協力があったとの報告もあります。優れた安定性と操縦性に重きを置いて設計され、1917年の年末には初飛行を果たしました。当初の最大速度は156km/hに達し、その運動性能も高く評価されました。

発動機は、最初はサルムソンM9の140馬力水冷星型9気筒エンジンを搭載し、後にサルムソン2M7の200馬力に、さらには三菱製のイスパノ・スイザV型8気筒エンジン200馬力に変更されました。イスパノエンジンが搭載された機体の製造は、横廠に加え、1920年以降は愛知航空機や中島飛行機でも行われました。

この機体はシベリア出兵の際も使用され、戦艦三笠に搭載されて出動するなどして、1925年頃まで主力水上偵察機として活躍しました。民間に払い下げられたロ号甲型は、郵便飛行などにも利用されました。

横廠式イ号甲型水上練習機

その後、モ式小型水上偵察機（モ式イ号甲型）の後継として、新たな水上練習機が開発されました。馬越喜七大尉の設計によるこの機体は、1920年末に初飛行し、ロ号甲型を一回り小型化したもので、速度、操縦性、安定性ともに優秀でした。その結果、横廠式イ号甲型練習機として制式採用され、70機が生産されました。

搭載された発動機は、ルノー、ベンツ、イスパノの各種がありましたが、中でもベンツエンジン搭載機が高い人気を得ており、製造された機体の半数以上がベンツエンジンを装備していました。

性能諸元

横廠式ロ号甲型水偵

• - 全長: 10.16m
• - 全幅: 15.69m
• - 全高: 3.67m
• - 自重: 1,000kg
• - 全備重量: 1,300kg
• - 最高速度: 155km/h
• - 乗員: 2名
• - 発動機: 三菱 ヒ式200馬力 水冷V型8気筒 200 hp × 1
• - 航続距離: 778km

横廠式イ号甲型水練

• - 全長: 不明
• - 全幅: 13.78m
• - 全高: 不明
• - 自重: 不明
• - 全備重量: 1,124kg
• - 最高速度: 124km/h
• - 乗員: 2名
• - 発動機: 瓦斯電 ベ式130馬力（水冷直列6気筒 130 hp × 1）
• - 上昇率: 5分/5,000m
• - 航続距離: 3時間

飛行機の命名法

1917年に制定された新しい飛行機名称規程に従い、練習用機体は「イ号」、偵察機は「ロ号」、敵機駆逐機は「ハ号」、敵艦攻撃機は「ニ号」と分類されました。したがって、「横廠式ロ号甲型」は、横須賀工廠製の初めての偵察機を指しています。

関連項目

• - 偵察機・哨戒機の一覧
• - 練習機の一覧

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