横廠式試作双発水上機

横廠式試作双発水上機

横廠式試作双発水上機（よこしょうしきしさくそうはつすいじょうき）は、大日本帝国海軍が開発した水上攻撃機です。別名「中島式双発トラクター」としても知られており、1916年に初めて完成しました。この機体は魚雷の運用を目的に設計されており、飛行機の研究が進められる中で試作が行われました。

開発の背景

1914年、大正3年のこと、大日本帝国海軍では中島知久平機関大尉が魚雷を運用する飛行機の開発を提案しました。彼の活動によって、魚雷搭載用の双発機が設計されたのです。中島大尉は設計主務者として、この新たな試作機の開発に取り組みました。1916年の4月には、ついに機体が完成を迎えますが、その翌には多くの課題が立ちはだかりました。

飛行試験と課題

試作機の主翼には強度不足があり、これが問題視されました。また、当時の海軍パイロットたちには双発機の操縦経験が乏しく、更には飛行すら目にしたことのない者も多数いました。これにより、飛行試験を行うためのパイロットが見つからず、結果的に追浜での水上試験が行われただけで、機体の本格的な飛行は実現しませんでした。

機体の設計

この機体は、木製骨組みに羽布を張った構造を持つ複葉機であり、特に双発複葉双フロートというユニークなデザインが特徴です。また、搭載する魚雷は水雷艇用の14インチ魚雷の全長を短縮したもので、機体の胴体下部に1発を懸架する形とする予定でした。

性能と特長

横廠式試作双発水上機は、日本初の国産双発機とされ、当時の日本製機の中でも特に大きな速力とエンジン出力を誇っていました。以下はその基本諸元です：

• - 全長：12.00 m
• - 全幅：20.00 m
• - エンジン：サルムソン 2M-7 水冷星型7気筒（公称200 hp） × 2
• - 最大速度：129.6 km/h
• - 航続時間：4時間
• - 武装：350kg魚雷 × 1
• - 乗員：2名

結論

横廠式試作双発水上機は、その開発過程において多くの技術的な課題に直面しましたが、日本の航空機技術の発展に寄与した重要な機体です。未来の航空機開発における足がかりともなったこの試作機は、戦時中の海軍航空機の基盤を築く一端を担いました。これは、当時の航空機技術の限界を超えようとする挑戦の一例であり、歴史の中で忘れ去られない存在であると言えるでしょう。

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