横浜バプテスト神学校

横浜バプテスト神学校

横浜バプテスト神学校（よこはまバプテストしんがっこう）は、19世紀末に日本で開設されたキリスト教の教育機関であり、特に伝道者の育成を目的として設立されました。その設立母体はアメリカ北部バプテストであり、日本のバプテスト派における伝道活動の中心的な役割を担いました。この学校の歴史は、現在の学校法人関東学院の源流の一つとしても位置づけられています。

設立とその歩み

学校は1884年10月6日、横浜の山手地区、具体的には山手64番地にその産声を上げました。初代校長には、宣教師であるアルバート・アーノルド・ベネットが就任し、学校の基礎を築きました。開設当初は、正規の卒業制度が明確には定められていませんでしたが、伝道者としての実践的な学びが提供されていました。

その後、学校の体制は徐々に整備されていきます。1888年には学制が確立され、4年制の教育課程が導入されました。これにより、より組織的かつ体系的な伝道者養成教育が展開されることとなりました。そして、学制制定から4年を経た1892年4月、記念すべき第1回卒業式が挙行され、最初の卒業生として世良田盛次郎が学校を巣立ちました。これは、学校が正式な教育機関として歩みを進め、成果を上げ始めた証と言えます。

学校施設の拡充も進められました。設立から10年後の1894年10月22日には、山手75番地に新たな校舎が完成し、献堂式が行われました。より広い場所へ移転することで、教育環境の向上が図られました。さらに1902年には、新校舎に隣接する西洋館が購入され、校長の公邸として使用されるようになり、学校の敷地と機能が一体的に整備されました。

校長についても、ベネット初代校長の後、指導者が引き継がれました。1894年にはJ・L・デーリングが校長職を引き継ぎ、学校の運営にあたりました。さらに1908年にはW・B・パーシュレーが校長に就任し、学校の歴史を繋いでいきました。

他校との合同と閉校

横浜バプテスト神学校は、時代の流れとともに他のバプテスト系神学校との連携を深めることとなります。特に、南部バプテストが九州に設立していた福岡バプテスト神学校との合同が計画されました。この合同は、日本のバプテスト派における伝道者養成体制をより効率的かつ強力に推進することを目的としていました。

合同の実現に向けて準備が進む中、横浜バプテスト神学校としてはその歴史に幕を閉じることとなります。1910年4月28日には、学校としての最後の卒業式が、第13回卒業式として執り行われました。そして、その年の10月12日、福岡バプテスト神学校と合同して、東京の小石川の地に新たな神学校、日本バプテスト神学校が設立されました。これにより、横浜バプテスト神学校はその役割を新しい学校に引き継ぐ形で歴史を閉じました。

横浜バプテスト神学校が約26年間にわたって果たした伝道者養成の役割は、日本のキリスト教会、特にバプテスト派の発展にとって欠かせないものでした。多くの卒業生が各地で伝道活動を行い、教会形成に貢献しました。また、この学校が培った教育理念や精神は、後の関東学院へと受け継がれ、今日のキリスト教主義教育の礎の一つとなっています。短い歴史ではありましたが、横浜バプテスト神学校は日本の近代キリスト教史において確かな足跡を残したのです。

関連項目

• - 東京学院
• - バプテスト教会
• - 日本基督教団新生会
• - 宗教系旧制専門学校

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