横浜市大倉山記念館

横浜市大倉山記念館は、神奈川県横浜市港北区の大倉山公園内に位置する文化施設です。この建物は、1932年に大倉精神文化研究所の本館として竣工し、その後、横浜市に寄贈され、1984年に記念館として開館しました。

歴史的背景

1981年、大倉精神文化研究所が敷地を横浜市に売却し、本館を寄贈したことが、記念館としての出発点となりました。横浜市は、この土地を公園として整備し、建物を改修することで、市民に開かれた文化施設として生まれ変わらせました。

この建物は、1991年に横浜市指定有形文化財に指定され、その建築的価値が認められています。また、大倉山ドキュメンタリー映画祭の開催地としても知られています。

建築の特徴

記念館の建物は、東西文化の融合を理念として設計されました。設計者は、古典主義建築の第一人者である長野宇平治です。外観は、ギリシャ神殿を思わせる西洋的な様式でありながら、内部は東洋的な木組み構造が採用されています。

建物は、クレタ・ミケーネ様式（プレヘレニック様式）を取り入れており、当時の最先端技術であった真空式低圧蒸気暖房装置や水洗トイレ、給湯装置も完備していました。建設は竹中工務店が担当し、総費用は約70万円、現在なら数十億円に相当すると言われています。

建物は、中央館、エントランスホール、殿堂、回廊、東館、西館の５棟で構成されており、それぞれに創設者の理念が反映されています。

• - 中央館: 高さ25.5メートルの塔が特徴です。
• - エントランスホール: 人間の「心の間」を象徴し、吹き抜け天井にはステンドグラス、鷲と獅子の彫刻が飾られています。
• - 殿堂（現在のホール）: 宇宙の中の自己を自覚する場として、音楽会や講演会に利用されています。収容人数は80名です。
• - 回廊（現在のギャラリー）: かつては座禅堂として利用され、現在は美術展などに利用されています。
• - 東館: 図書館として、米国製の書架や書籍運搬用リフト、送風装置を備えていました。現在は図書閲覧室や研究室として使われています。
• - 西館: 旧研究室で、知性や教養を司る場とされました。現在は集会室として利用されています。

また、1階中央階段裏には、「留魂礎碑」があります。これは、創設者の遺志を尊重し、1930年に本館中央の地下に埋められた「留魂碑」を記念するものです。碑面には、創設者・大倉邦彦の理念が刻まれています。

館内の詳細

1階

• - 記念館事務室
• - 第10集会室（旧：食堂）
• - 第9集会室（旧：談話室）
• - 第8集会室（旧：研究所事務室）
• - 第7集会室（旧：製本室）
• - 留魂礎碑（中央階段裏）

2階

• - ピロティー
• - エントランスホール
• - 図書館閲覧室（旧：司書室）
• - ロビー（旧：目録室）
• - 第1集会室（旧：閲覧室）
• - 第6集会室（旧：所長室）
• - ギャラリー（旧：回廊）

3階

• - ホール（旧：殿堂）
• - 第2、3集会室（旧：研究室）
• - 第4集会室（旧：講義室）
• - 第5集会室（旧：応接室、貴賓室）

交通アクセス

東急東横線大倉山駅から徒歩7分。

その他

この記念館は、茅原実里さんの曲「Celestial Diva」のPV撮影や、ドラマ「熱海の捜査官」のロケ地としても使用されています。

横浜市大倉山記念館は、歴史と文化が融合した貴重な場所であり、地域の文化活動の拠点として、多くの人々に親しまれています。

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