横浜新田競馬場

横浜新田競馬場の歴史と背景

横浜新田競馬場（よこはましんでんけいばじょう）は1862年、横浜新田に設立されましたが、これは日本で初めての洋式競馬場として記録されています。競馬場の使用は1862年のたった1年間に限られており、最初の常設競馬場である横浜競馬場（1866年設立）までの一時的な存在でした。また、日本初の洋式競馬が行われたのは1860年のことで、これは横浜の外国人居留地付近での出来事です。

外国人居留地と乗馬活動

1858年の日米修好通商条約により、横浜には外国人居留地が設けられました。居留地で生活していた外国人は、日常的な運動として乗馬を楽しんでいました。週末には東海道を利用して川崎近辺への乗馬を楽しむこともあり、そのために幾つかの事件が発生しました。こうした環境下で、乗馬技術を競う競馬が自然に行われるようになり、1860年には近くの農道を利用して初の洋式競馬が開催されました。このように、横浜地域では不定期に洋式競馬が行われていましたが、正式に洋式競馬場が必要とされる声が高まりました。

横浜新田競馬場の設立

1862年、居留地近くの横浜新田に新たに正式な競馬場が設立されました。この競馬場は約1200メートルの周回コースで、幅は11メートル、ゴール前は200メートルの直線となる構造でした。神奈川地域の外国人にとって、この競馬場は乗馬・競馬を楽しむ憩いの場でもありました。アーネスト・サトウが初来日した際には、すぐにこの競馬場で乗馬を体験するほど、居留地民には身近な施設だったのです。

1862年の春と秋に、横浜新田競馬場では競馬が開催されましたが、特に春の開催は幕府の公認を受けずに行われたため、幕府が許可を出したのはその後のことでした。競馬に関わった世話人たちは、様々な商会や領事で構成され、参加馬には日本在来馬やアラブ馬など多様な種類が含まれていました。

春の競馬

1862年5月1-2日に行われた春の競馬では、5レースが予定され、参加した馬は全体で40頭にのぼりました。日本馬とアラブ馬などがレースに参加し、体格別にホースとポニーに分けられて実施されました。この時、競走馬自体は居留地民の荷役馬や乗馬用の馬が使われ、騎手も馬主本人や知人が乗る形が一般的でした。レースは主にニューマーケット・ルールに基づいて行われ、賞金も設定されました。

秋の競馬

6月には幕府から競馬場が正式に設置され、居留地外国人によるヨコハマ・レース・コミッティが設立されます。しかし、地盤が不安定な横浜新田競馬場に対する不安から、より適した競馬場の建設が求められました。そのため、秋の競馬が終わると、横浜新田競馬場の廃止が決定し、次の競馬場の建設にむけた動きが始まります。

その後

横浜新田競馬場での競馬は1862年に開催された春と秋の両方で成功裏に終わりましたが、その後の動きは慎重なものでした。横浜の居留地周辺では安全が脅かされる状況もあり、幕府は新しい競馬場の建設を急ぐ必要がありました。そうした流れの中で、1866年には日本初の本格的な競馬場である横浜競馬場が開設されました。

これらの出来事は、日本国内における競馬の普及と発展の初期段階を形成しており、横浜新田競馬場はその象徴的な存在でした。競馬の歴史を通じて、外国文化の影響は日本の競馬界に新たな風を吹き込むこととなり、近代日本の競馬の基盤を築いていくのです。

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