横浜船渠

横浜船渠の歴史と重要性

横浜船渠（よこはませんきょ）は、横浜市に位置し、かつて存在した著名な造船所です。この造船所は1889年に設立され、造船業における重要な役割を果たしました。その後、三菱重工業と合併し、三菱重工業横浜船渠として知られるようになり、さらに1953年には三菱重工業横浜造船所へと名称変更されました。最終的には1983年に本牧地区へ移転し、その後三菱重工業横浜製作所として再編されました。横浜船渠の跡地は、横浜みなとみらい21として再開発されましたが、元の造船所である横浜船渠が残した文化的な遺産は今もなお重要視されています。

設立の背景

横浜船渠の設立は、江戸幕府時代に遡ります。当時、横須賀製鉄所と共に横浜製鉄所が設立され、明治維新後は明治政府の工部省が運営する横浜造船所へと引き継がれました。イギリスから来た技師・パーマーが提案したように、港湾の発展にはドックや倉庫といった付帯施設が欠かせないという考えが広まりました。この提案に触発された渋沢栄一ら地元の財界人は、1889年に横浜船渠を設立しました。最初に建設されたのは3基の船舶修理用ドックであり、これにより艦船の修理と整備が行われるようになりました。

船舶の建造と成長

横浜船渠は、艦船の修理のみならず建造にも取り組むようになりました。特に、氷川丸や秩父丸（後に鎌倉丸に改名）といった中型から大型の客船を建造したことが知られています。さらに、海軍艦艇も一部手がけており、その技術力は当時の日本の造船業において重要な位置を占めていました。

1935年には、三菱重工業に吸収合併され横浜船渠の名称が消滅し、現在の三菱重工業横浜造船所へと変遷していきます。この合併により、横浜船渠は三菱の一部門としてさらなる発展を遂げましたが、1960年代に入ると船舶の大型化が進み、横浜船渠の施設は需要に応えきれなくなりました。小型船舶の修繕作業は中小の造船所に移行し、徐々にドックの利用は低下していきました。

移転と再開発

1980年には、三菱重工業は造船所の本牧・金沢地区への移転を決定しました。その結果、1983年には全ての業務を移転させ、横浜船渠としては閉鎖されました。しかし、移転後の跡地は新たに横浜みなとみらい21として再開発され、様々な商業施設や行政機関が集まる町へと変わっていきました。横浜船渠に関連する歴史的な遺構も保存されており、現在では2基のドライドックが国の重要文化財として指定されています。

まとめ

横浜船渠は、その歴史的背景や数々の艦船の建造実績から、ただの造船所以上の意味を持っています。特に、国の重要文化財として認識されるドックは、当時の造船技術や港湾の発展を物語る貴重な資産です。再開発された現在の横浜みなとみらいは、当時の面影を残しつつも、新たな歴史を刻む場所へと変貌を遂げています。

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