横浜関帝廟

横浜関帝廟について

横浜関帝廟（よこはまかんていびょう）は、神奈川県横浜市中区に位置し、横浜中華街の中でも特に注目されるスポットです。この廟は神格化された関羽（関帝）を祀っており、商売繁盛の神として広く信仰されています。貿易や商業が盛んな中華街には、商人たちの心の拠り所として重要な役割を果たしています。

歴史的背景

横浜港が1859年に開かれたことにより、外国人が多く居留するようになり、特に中国からの移住者が集まりました。これが横浜中華街の形成のきっかけとなります。1862年には、関聖帝君（関帝）の木像を祀る小規模な祠が設立され、その後1871年には寄付により本格的な神社が建設されました。1886年には改修工事が行われ、1891年にさらなる改築が施されました。

しかし、初代関帝廟は1923年の関東大震災により倒壊し、その後2代目が再建されましたが、1945年の空襲で再び焼失しました。続いて建造された3代目も1986年に火災で消失し、ようやく1990年に4代目が完成します。この新しい建物は1989年に開廟式を迎え、現在の形となっています。

2019年には、近隣の横浜中華学院の新設工事に伴い、初代関帝廟の遺構が発見され、一部が常設展示されています。これによって、当時の様子を垣間見ることができる貴重な機会となっています。

建築の特徴

横浜関帝廟の建築には厳選された資材が使われており、その多くは中国から取り寄せられています。中華民国および中華人民共和国の職人が手がけた建物であり、特に両側の大きな石は北京から運ばれた雲龍石で、楼門の龍の屋根瓦は台湾産のものが使われています。これらの要素が組み合わさり、関帝廟は中華道教建築の美を代表する存在となっているのです。

また、横浜関帝廟は同じく中華街に位置する横浜媽祖廟と並び、華僑コミュニティの精神的な拠り所となっています。明治期には、在日外国人の信仰の中心としても機能しており、特に関内にあったキリスト教会との共存が歴史的にも重要視されています。

年中行事

関帝廟では、さまざまな年中行事が行われています。大晦日にはカウントダウンのイベントがあり、正月には獅子舞が披露されます。春節（旧正月）や関帝の誕生祭「關帝誕」も盛大に祝われ、また「光明灯」という行事では、道に迷わぬようにと関帝の加護を願うために灯りが奉納されます。

これらの行事に加えて、参拝者が大きな線香を持ち、三回の礼を行う姿もよく見かけられます。また、占いの活動も行われており、道教の籤やポエを用いた占いが人気です。

横浜関帝廟は、ただの信仰の場に留まらず、地域の文化や歴史を深く理解するための重要な拠点でもあります。

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