関帝

関帝とは

関帝（かんてい）は、中国後漢末期に劉備に仕えた武将、関羽（かんう）が神格化された神です。関羽は、その武勇と忠義心から、死後、人々に敬われ、さまざまな神号を贈られて、民間の信仰を集めるようになりました。関帝は、単に関羽の敬称として使われることもあります。

多様な呼び名

関帝は、その神格の高さから、多くの別名を持っています。代表的なものとして、関聖帝君（かんせいていくん）があります。その他にも、関帝聖君、関帝翁、山西夫子、関夫子、蓋天古仏、協天大帝、伏魔大帝、関帝菩薩、関聖大帝菩薩、伽藍神、伽藍菩薩、世護法など、数多くの呼び名で親しまれています。

三つの顔

関帝は、主に以下の三つの側面を持つ神として知られています。

武神: 騒乱を鎮め、平和をもたらす武神としての側面。
伽藍神: 寺院や道観などの宗教施設を守護する伽藍神としての側面。
財神: 算盤を発明した（とされる）ことから、財をもたらす財神としての側面。

関帝信仰の歴史

関羽への信仰は、唐代の782年に、太公望を祀る武成王廟に従神として祀られたことに始まります。その後、明代になると国家祭祀が始まり、北京に武神関羽を祀る白馬廟が建てられました。宋代や元代以降は、小説や戯曲の普及に伴い、関羽の存在が広く知られるようになり、関帝廟への参拝者が急増しました。清代には、関帝の神格がさらに高まり、民間にも広く普及しました。

神号の追贈

関帝は、歴代の中国王朝から様々な神号を追贈されてきました。北宋時代の1096年には、哲宗の命により、荊州の玉泉祠が「顕烈廟」と改名されました。明の時代には、「三界伏魔大帝神威遠鎮天尊関聖帝君」という神号が贈られ、清の時代には、「忠義神武関聖大帝」、「忠義神武霊佑関聖大帝」、「忠義神武霊佑仁勇関聖大帝」、「忠義神武霊佑仁勇威顕関聖大帝」などの神号が贈られました。

関帝を祀る施設

中国では、庶民の日常生活に深く関帝信仰が根付いています。そのため、中国国内はもちろん、世界各地の中華街や華僑が多く住む地域には、関帝廟や小規模な祭壇が設けられていることが多く、関帝廟は中華系の人々にとって心の拠り所となっています。

廟名の変遷

関帝を祀る廟の名称は、時代や地域によって異なり、例えば1608年の記録には、「関王廟」、「寿亭侯廟」、「武安王廟」などの名称が見られます。後に、これらの廟は「関帝廟」と呼ばれるようになりました。

関帝の祭り

関帝の生誕を祝う祭りは、関帝誕と呼ばれ、旧暦の6月24日に行われます。これは、関羽が旧暦6月24日に生まれたという伝承に基づいています。清代には、旧暦の5月13日に皇帝による式典が行われていました。

関帝信仰の分析

関帝信仰が広まった背景には、王朝側と庶民側のそれぞれの理由があったと考えられています。王朝側は、関羽を「忠義の人」として人々に尊崇させることで、王朝の秩序や権威を維持しようとしたと考えられます。一方、庶民にとっては、財神としての関帝が人気を集め、物質的な利益を求める信仰の対象となったと考えられます。

まとめ

関帝は、武神、伽藍神、財神という複数の側面を持ち、中国をはじめ世界各地で広く信仰されています。その歴史は長く、多くの人々の心の拠り所となっています。

脚注

関羽
関帝廟
武成王

外部リンク

横浜　関帝廟
大阪　関帝廟

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