横蹴り

横蹴りの技術とその運用

横蹴り（よこげり）は、少林寺拳法、日本拳法、中国武術、空手、ムエタイ、キックボクシング、シュートボクシング、プロレス、さらには総合格闘技など、さまざまな格闘技で使用される基本的な蹴り技の一種です。この技は、通常、相手に対して横向きの姿勢から行われ、その結果、威力の異なる攻撃が可能となります。

使用する部位

足刀

足刀は、足の小指側の側面で相手に蹴りを加える技法で、この部分を用いることで非常に効果的に攻撃ができます。

かかと

かかとの部分を利用した踵蹴りは、その威力が非常に大きい点が特徴です。正しいタイミングと角度で使用することで、相手に強い衝撃を与えられます。

足裏全体

素足を用いる空手やテコンドーなどではあまり見かけませんが、沓を履いて行う武術においてはよく使われます。足裏全体での攻撃は、相手を蹴り離したり、姿勢を崩すのに特に効果的です。

技の出し方

基本的な構え

技を出す際には、まず継ぎ足の姿勢で相手と距離を詰め、横向きの姿勢を取りながら相手の顔を見つめます。蹴る瞬間まで一旦蹴り足を引きつけ、直線的に蹴り出します。

足刀蹴り

この技では、蹴り足を軸足の近くまで引きつけた後、瞬時に足刀部を伸ばして蹴ります。蹴りの際には、頭部が自然に相手と反対方向に傾くものの、顔は相手の方を向いている状態です。この姿勢では、頭部や顎を狙った攻撃や脇腹、膝裏を狙った下段の攻撃に向いています。

蹴込み

膝頭を胸前に引きつけ、相手に向かって大きく水平に蹴り込む技法です。横向きの姿勢から行うため、その瞬間の頭部が低い位置にあります。この技は、足刀部や踵を用いて大きな威力を生むことができます。

跳び蹴り

遠間からの踏み切りで跳躍し、空中で足刀蹴りを行うテクニックです。相手の守りが堅い場合に意表を突く攻撃として効果的ですが、見切られる可能性も高くリスクがあります。

実際の使用状況

K-1やキックボクシングといったパンチ主体のリング競技では、横蹴りの使用頻度は比較的低いものの、米国において発展したフルコンタクト空手では頻繁に使用されています。これは、フルコンタクト空手が伝統的な空手にルーツを持っているからです。また、少林寺拳法や空手における型試合や約束組み手では、横蹴りの使用が多く見られ、その理由として刃物などを使用する相手と対峙する際に有利とされるためです。

近代スポーツ競技においては、横蹴りはボクシングの技術やローキックを基盤とした構造のために組み込みにくいとされています。しかし、中国拳法の散打やテコンドーのように蹴り技主体の技術体系には横蹴りが見られます。さらに、総合格闘技においても、最近では膝頭を狙った横蹴りが徐々に増加しており、その効果や危険性についても議論されています。

横蹴りは、状況や相手によってその見せ方や効果が大きく変わる多様な技法であり、武道を通じて学ぶべきポイントが多く隠されています。

もう一度検索