横須賀水道

横須賀水道の概要と歴史

横須賀水道（よこすかすいどう）は、神奈川県横須賀市に存在する上水道施設で、地域の住民にとって不可欠な水源となっています。2009年の時点で、給水面積は100.93平方キロメートル、供給世帯数は165,808世帯、給水量は年間約6,598万立方メートルを誇ります。水源は小雀（横浜市水道局と共同利用）、宮ヶ瀬（企業団からの受水）、有馬、酒匂川（こちらも企業団からの受水）、そして走水の5つです。

歴史的背景

横須賀の水道施設は、明治時代の初頭に設置され、日本の水道史においても早期に近代水道が整備された例です。幕末の黒船来航を機に、横須賀には鉄道と造船所が設立され、その後、横須賀海軍工廠へと発展しました。この成長とともに、水の需要が急増し、1874年から1876年にかけて走水から最初の水道が整備されました。

初めての水道、走水水道はその後、海軍専用の水源として機能し、1918年には中津川を源流とする軍港水道が通水しました。1919年には、この施設が横須賀市に無償で提供され、上水道の主要な水源となりました。さらには1922年、従来の簡易水道を統合した市営水道システムが完成しました。

大正・昭和時代の発展

大正時代には、芦ノ湖の水を利用した水力発電の計画が立てられましたが、様々な理由から計画は頓挫しました。三浦半島と湘南地域では水不足が深刻化し、試みられる町村単独の水道設置が財政的に困難でした。そのため、政府との交渉を経て、1933年に日本初の県営水道事業が実現します。

1940年代には、国際情勢の緊迫化に伴い、海軍の水需要が急増。これに対応するため、海老名市社家から水を引くための有馬系統の工事が始まり、1942年に一部通水、1945年に全通水が完了しました。

終戦後、軍港水道の施設および職員は横須賀市に引き渡され、1954年には正式に市のものとなりました。その後も水道の拡張が繰り返され、企業団による水源配分が行われるようになりました。

横須賀水道道

日露戦争後、走水系統の供給量が不足したため、1912年から始まった中津川の水を利用した半原系統の工事も非常に重要でした。この配水は1918年に通水を開始し、長らく横須賀市の水源を支えました。特に険しい土地を通るこの配水管は、横須賀水道道として現在も多くの地図に表示されています。

しかし、2007年から水質や老朽化の問題で取水は停止され、2015年には正式に廃止されました。半原水源地跡地は2018年に愛川町によって取得され、観光資源としての再開発計画が進行中です。事業費は約17億円が見込まれています。

まとめ

横須賀水道は、多様な歴史的背景と地域のニーズに応え続けてきた重要なインフラです。今後も地域の発展とともに、その役割をさらに強化していくことが求められています。

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