樺 (橘型駆逐艦)

駆逐艦『樺』：激動の艦歴

概要

『樺』は、日本海軍の駆逐艦です。橘型（改松型）に分類され、藤永田造船所で建造されました。艦名は植物の樺、特にシラカバを由来としており、同名の駆逐艦としては2代目となります。本艦は、太平洋戦争において数々の激戦を経験し、その短い生涯に多くのドラマを残しました。

艦歴

竣工後、『樺』は訓練部隊である第十一水雷戦隊に所属し、瀬戸内海で訓練に従事していました。しかし、待機中に触雷し、損傷を負います。その後、乗員は爆撃で損傷した『楡』から移乗し、『楡』に代わって第三十一戦隊第五十二駆逐隊に編入されました。

運命の転換期は1945年7月24日に訪れます。この日に、ジョン・S・マケイン・シニア中将率いるアメリカ軍の第38任務部隊艦載機の攻撃を受けました。小型爆弾1発が命中、魚雷発射管は使用不能となり、35名の尊い命が失われました。この戦闘による損害は大きく、『樺』はそのまま呉で終戦を迎えることとなりました。

終戦後も『樺』の物語は続きます。10月5日に除籍されたものの、12月1日には特別輸送艦に指定され、復員輸送に従事しました。しかし、その役目は長くは続きませんでした。1947年8月4日、賠償艦としてアメリカ合衆国に引き渡され、その後国内で売却、解体されることとなります。解体作業は三井造船玉野造船所で、1947年10月8日から1948年3月1日にかけて行われました。

歴代艦長

艦長に関する正確な情報は、参考文献『艦長たちの軍艦史』を参照ください。本記事では、同書に基づき、艤装員長と駆逐艦長を務めた野尻雅一大尉に関する情報を記述しています。

艤装員長：野尻雅一大尉 (1945年3月1日～)
駆逐艦長：野尻雅一大尉 (1945年5月29日～)

参考文献

本記事の作成にあたり、以下の文献を参照しました。これらの文献には、日本海軍に関する詳細な情報、特に『樺』の艦歴に関する貴重な記録が記載されています。

海軍歴史保存会『日本海軍史 第7巻』
片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』
木俣滋郎『日本水雷戦史』
田村俊夫「米国に引き渡された賠償艦艇の最期について」
外山操『艦長たちの軍艦史』
歴史群像編集部 編『松型駆逐艦』
* アジア歴史資料センター（公式）（防衛省防衛研究所）『昭和19年6月1日～昭和20年6月30日　第11水雷戦隊戦時日誌（8）』

結論

駆逐艦『樺』は、短期間ながらも激動の時代を象徴する艦として、その歴史に名を刻みました。数々の戦闘を経験し、多くの犠牲を払ったその生涯は、太平洋戦争の激しさと悲劇を物語っています。本記事が、その歴史を理解する一助となれば幸いです。

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