樺太工業

樺太工業株式会社の歴史

樺太工業株式会社（からふとこうぎょうかぶしきがいしゃ）は、大正時代から昭和初期にかけて日本に存在した製紙会社である。この会社は「製紙王」と称される実業家、大川平三郎によって設立された。樺太工業株式会社は、当時の製紙業界において大手企業である王子製紙や富士製紙と比べて、後発の企業でありながらも、国内洋紙生産高の20%を占めるまでに成長を遂げた。残念ながら、1933年には大手3社が合同することとなり、樺太工業は消滅した。

樺太工業の成立背景

樺太工業は1913年に創立され、大川平三郎と彼が関与した5つの製紙会社の出資によって設立された。大川平三郎は、実業家渋沢栄一の甥であり、王子製紙の設立時から重要な役割を果たしていた。彼は専務取締役として王子製紙の発展に寄与していたが、1898年に三井財閥との対立により退職した。その後、四日市製紙に移籍し、更にいくつかの製紙会社を設立し、製紙業界での影響力を高めていった。

1911年には、樺太への進出を視野に入れ、九州製紙、中央製紙、四日市製紙の3社共同で樺太国有林の伐採権を取得し、1913年には樺太工業を設立した。大川は、王子製紙や富士製紙が北海道に資源を確保していたのに対して、樺太に目を付け資源の確保を図った。

事業の展開

樺太工業は、当初はパルプ専業のメーカーとして計画され、翌年には泊居工場を操業し、亜硫酸パルプの生産を開始した。その後、真岡工場や恵須取工場の建設を進め、徐々に紙製品の生産もスタートした。第一次世界大戦の影響で、ヨーロッパからのパルプ輸入が途絶えたこともあり、樺太工業は高収益を上げ、新工場の開設を続けた。

1900年代後半になると、樺太工業も経営を拡大し業界内での地位を確立し、シェアも増加。1920年には、樺太工業の生産高は業界の約12%を占めていたが、1920年代には戦後の経済不況に見舞われ、苦境に立たされた。特にパルプの価格が低下したことで、経営が悪化し、火災によって工場が焼失するなどのアクシデントも相次いだ。

経営の苦境と合併

経営悪化が続いた樺太工業は、次第に資金繰りが厳しくなり、1930年には社債の償還が困難になる事態に直面した。大川平三郎は、さまざまな金融機関へ支援を求めたりしたが、結局は王子製紙や富士製紙との合同を望むように。1933年、これら大手に合併され、樺太工業は消滅した。

結論

樺太工業株式会社は、その短い歴史の中で急速に成長を遂げた製紙会社であり、大川平三郎の経営手腕によって一時は業界第3位の生産会社となりました。しかし、様々な外的要因や経済状況の変化により、1933年に王子製紙に合併されてしまいました。このように、樺太工業は浮き沈みの激しい時代を生き抜いた企業であり、その歴史は日本の製紙業の発展の一側面を物語っています。

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