機械化 (雑誌)

国防科学雑誌『機械化』の概要

国防科学雑誌『機械化』（きかいか、KIKAIKA）は、昭和15年（1940年）から昭和20年（1945年）まで発行されていた日本の月刊誌です。この雑誌は、財団法人機械化国防協会によって編纂され、山海堂出版部がその出版を担当しました。特に、戦局の悪化に伴い、雑誌の品質は徐々に低下し、最終号は昭和20年の春に発行されました。この号が最後となり、終戦後に復刊されることはありませんでした。

創刊の背景

『機械化』は、もともと昭和12年（1937年）に設立された日本陸軍の外郭団体である機械化兵器協会を母体として誕生しました。国防教育と科学技術の普及を目指して1940年に月刊誌として生まれ変わりました。最初の会長には、陸軍大将の吉田豊彦が就任し、彼のもとで国防に関する様々な知識と情報が提供されました。

内容と特徴

この雑誌は、兵器や戦術に関する解説を中心に、工業技術や国際的な軍事状況についての情報も掲載されました。雑誌の中には、飛行機や水陸両用戦車などの模型制作に関する記事、また空想科学小説も収められており、娯楽的な要素を含んでいました。特に印象的なのは、小松崎茂による未来の兵器の挿絵や図解で、奇想天外な新型兵器のビジュアルを通じて読者の興味を引きました。

当初、創刊号から休刊号までのすべての号がB5サイズで発行され、表紙や口絵は四色印刷が施されていました。しかし、戦局の影響で後期にはページ数が減少し、印刷方式も単色になりました。記事のほとんどは二色印刷や一色印刷で構成され、内容は科学技術や兵器だけではなく、技術者や学者による執筆もあったため、専門的な情報が多く盛り込まれていました。

発行と配布

山海堂出版部が発行を担当した『機械化』は、一般の書店だけでなく、軍需工場など、全国の多くの場所に配布されました。特に、少年工員や愛国奉仕隊の寮にも送られ、戦時中の情報提供の役割を果たしました。詳細な発行部数は不明ですが、多くの読者に利用されていたことは間違いありません。

執筆陣

執筆には、陸軍の高官から大学の教授、産業界の技術者など、幅広いバックグラウンドを持つ専門家が参加しました。著名な作家である海野十三や北村小松も関与しており、創作物としての側面も持つ重要な雑誌でした。また、機械化兵器協会の影響下で、時代のニーズに即した内容が構成され、国民にとっての情報源としても大きな役割を果たしました。

閉刊

最終号の発行は昭和20年の春であり、その後の復刊は叶わず、機械化国防協会自体も解散しました。本誌は、戦争という特異な時代の中で発信された貴重な史料といえるでしょう。戦後における国防や科学技術への関心の変遷を見る上でも、興味深い存在となっています。

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