機芸出版社

機芸出版社は、日本の鉄道模型愛好家にとって知らない人はいない、歴史ある出版社です。創業者である山崎喜陽氏は、戦前から鉄道模型に関する執筆活動を行い、Oゲージから16番ゲージ、そしてNゲージへと続く日本の鉄道模型史を自身の出版物を通して記録してきた人物でした。

同社は、鉄道模型クラブ「まくらぎ会」の機関誌『まくらぎ』を一般向けに発売したことをきっかけに、広く知られるようになりました。この『まくらぎ』が発展し、現在も刊行されている人気雑誌『鉄道模型趣味』へと繋がります。長きに渡り愛読されてきた『鉄道模型趣味』は、日本の鉄道模型文化に多大な影響を与え、多くの愛好家を魅了し続けています。

機芸出版社の出版物は、単なる製品カタログや解説書にとどまりません。山崎氏の豊富な知識と経験に基づいた、丁寧な解説と美しい写真、そして正確な図面は、多くの模型愛好家の製作を支え、より高度な模型製作を可能にしました。特に、戦後間もない時期から刊行されていた『TMSスタイルブック』は、精密な鉄道車両図面集として高く評価され、日本の鉄道模型史において貴重な資料となっています。

また、同社は長らくイギリスの鉄道模型メーカー、ピィコの日本総代理店も務めていました。1969年から2016年まで、多くの日本の鉄道模型ファンにピィコの製品を提供し、日本の鉄道模型界の発展に貢献しました。

近年では、Nゲージに特化した雑誌『Nゲージマガジン』や、人気のNゲージメーカーTOMIXの解説書『TOMIXの使い方』なども刊行し、時代の変化に対応した出版活動を展開しています。

2019年には、鉄道模型メーカーModels IMONを擁する井門コーポレーションに事業が承継されました。これにより、機芸出版社は新たな体制で、日本の鉄道模型文化をこれからも支えていくことになります。長年培ってきた伝統とノウハウを活かし、今後も多くの鉄道模型ファンに愛される出版物を届けてくれるものと期待されます。

機芸出版社の歴史は、日本の鉄道模型の歴史そのものです。創業者山崎喜陽氏の情熱と、それを受け継ぐ人々の努力によって築き上げられた同社の功績は、これからも日本の鉄道模型文化を豊かに彩り続けることでしょう。戦前から続く歴史、そして多くの愛読者に支えられてきた『鉄道模型趣味』をはじめとする出版物は、日本の鉄道模型史における重要な部分を担い、これからも多くの模型愛好家にとってなくてはならない存在であり続けるでしょう。

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