機雷原啓開船 (ドイツ海軍)

機雷原啓開船（きらいげんけいかいせん）

機雷原啓開船は、ドイツ語でSperrbrecherと呼ばれる、第一次・第二次世界大戦中にドイツ海軍によって用いられた掃海艦艇の一種です。この船は、敵の機雷敷設に対抗するため、主要な航路や港湾を安全に通過するための重要な役割を果たしました。

歴史的背景

戦争中、両陣営は積極的に機雷を敷設し、敵の航行を妨げる戦術を採用しました。これにより、特に外洋に面した航路や港湾は、機雷による危険が増すこととなりました。そのため、ドイツ海軍は商船を改装し、機雷通過時の艦船航路の啓開や先導を行わせることにしました。

第一次世界大戦時には、約30隻の商船がこの目的で徴用され、機雷原啓開船として改造されました。第二次世界大戦においては、その数は大幅に増加し、5,000トン級の船舶を中心に100隻以上が投入され、艦隊や輸送船団の護衛を行いました。特に、大戦の終盤にはUボートの出撃や帰港時の先導や護衛任務にも従事しました。

機能と設計

第二次世界大戦時の機雷原啓開船は、触雷事故に備えた設計が施されており、船首には強化された構造が見られます。さらに、乗員の防護装備や船倉には浮力材が充填されていました。この船舶は、先導する艦船や港湾の防空任務も果たすために強力な対空火器や阻塞気球を搭載し、戦闘状況においても耐えうる性能を有していました。

また、機雷処分のためには、舷外電路を通じて船体の磁力を強化したり、発音器を装備することで感応機雷が作動しやすくなるよう工夫がされていました。このような任務は非常に危険であったため、第二次世界大戦中には、多くの機雷原啓開船が失われてしまいました。

戦後の機雷原啓開船

戦争が終結した後、残存した機雷原啓開船の一部は商船として復帰し、平時の航行に戻りましたが、その多くは戦争の激闘の中で失われてしまったのです。機雷原啓開船は、第一次・第二次世界大戦を通じて、航路の安全確保に多大な貢献を果たしました。

参考資料

• - 福井静夫著作集 第十一巻―軍艦七十五年回想記『日本特設艦船物語』光人社、2001年
• - 広田厚司『ドイツ海軍入門』光人社、2007年

関連項目

• - ドイツ海軍艦艇一覧
• - 桑栄丸

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