檜尾寺

檜尾寺（ひのおじ）

滋賀県甲賀市甲南町池田に位置する檜尾寺は、天台宗に属する寺院です。補陀洛山という山号を持ち、本尊には千手観音を祀っています。この寺院は、その長い歴史の中で、多くの人々の信仰を集めてきました。

歴史

寺伝によれば、弘法大師が根本中堂を建立するためにこの地を訪れた際、山に大蛇が棲みつき、樹木を焼き払い、人々に危害を加えていました。大師の夢に老翁が現れ、「大蛇は不加天津彦火瓊杵尊神であり、龍法を禁じ、南山那智に移る」と告げました。大師は観音の霊告を喜び、千手観音像を自ら制作し、明神本迹の修法を行ったところ、蛇は姿を変えて雲煙となったと伝えられています。これにより、寺は補陀落山、火尾寺と号されるようになりました。

853年（仁寿3年）には、円仁が文徳天皇の勅命により堂宇を再建しました。この際、火の字を「檜」に変え、檜尾寺と改称されました。かつては、檜尾社の別当職として28院6坊を有する大寺院として繁栄しました。

しかし、永禄年間（1558年-1570年）以降、数度の兵火に見舞われ、宝永年間（1704年-1711年）に隆照大和尚によって再建されました。さらに、安政年間（1854年-1860年）には元空大和尚によって現在の本堂が再建されました。明治維新以前は、境内を接する檜尾神社の別当寺であり、文殊院が隣接していました。

文化財

檜尾寺には、貴重な文化財が収蔵庫に保管されています。これらの文化財は、毎年1月1日から3日、2月1日、8月18日（採燈護摩）の5日間のみ一般公開されています。

木造千手観音立像（国重要文化財）：鎌倉時代に制作されたもので、像高145cm、檜材、寄木造、彫眼、漆箔が施されています。
木造釈迦如来立像（市指定文化財）：こちらも鎌倉時代の作で、像高178.5cm、寄木造、漆箔が施されており、院派仏師によるものとされています。

これらの仏像は、檜尾寺の歴史と文化を語る上で非常に重要な存在です。

札所

檜尾寺は、以下の札所にもなっています。

近江西国第三十三箇所第30番
甲賀西国三十三所第11番
* びわ湖百八霊場第84番


これらの札所巡礼を通じて、多くの人々が檜尾寺を訪れています。

境内

境内には、本堂のほか、歴史を感じさせる堂宇や庭園が広がっています。訪れる人々は、静寂な空間で心静かに過ごすことができます。

檜尾寺は、その長い歴史と文化、そして美しい自然に囲まれた場所として、多くの人々にとって心の拠り所となっています。

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