次郎 (呼出)

次郎（じろう、本名：西出和夫、1960年1月19日 - ）は、元大相撲の呼出であり、その卓越した土俵作りの技術から「土俵作りの名人」と称されました。千葉県習志野市出身で、三保ヶ関部屋から春日野部屋へと所属を移しました。

卓越した土俵作りと長年の貢献

次郎は長年にわたり土俵作りの責任者を務め、その技術は高く評価されていました。2008年1月場所から2022年11月場所まで三役呼出筆頭を務め、その間、関脇同士の優勝決定戦を含む、数々の重要な一番を呼び上げました。

特に印象的なのは以下の三つの優勝決定戦です。

2019年9月場所千秋楽：関脇御嶽海 - 関脇貴景勝（史上初の関脇同士の優勝決定戦）
2022年3月場所千秋楽：関脇若隆景 - 前頭髙安
2023年7月場所千秋楽：関脇豊昇龍 - 前頭北勝富士

これらの重要な一番を呼び上げたことは、次郎の呼出としての実力を示すものです。

兄弟子との絆と立呼出への昇進

2019年11月場所からは、不祥事により退職した立呼出の拓郎の後任として、結びの一番を含む最後の二番を呼び上げるようになりました。拓郎は次郎にとって同じ部屋の兄弟子であり、40年以上の付き合いがありました。拓郎の退職が決まる前に「九州は行けなくなるから、頼むな」と電話があったというエピソードは、二人の深い絆を物語っています。

次郎は2015年1月場所から次席、2019年11月場所からは首席の呼出を務め、2024年1月場所には飛び級で立呼出に昇進しました。これは1996年1月場所の兼三以来のことで、三役呼出から副立呼出を経ずに直接立呼出に昇進したことになります。この昇進により、4年間空位だった立呼出の座が埋められましたが、次郎の立呼出在位は定年までの7場所となる見込みでした。

独特な呼び上げと評価

次郎の呼び上げは、その独特な音程が特徴的で、角界関係者からも「音痴」と評されるほどでした。スポーツライターの西尾克洋も、「J問題」として音程を外す呼出の年功序列による立場に懸念を示していました。実際、過去には番付の序列で克之に抜かれたり、拓郎の退職後も長らく三役呼出に留め置かれたりした背景には、この音程の問題があったと推測されます。

立呼出在位中には、本来の結びの一番が不戦勝となったために、呼び上げの出番がないという珍しいケースも複数回経験しています。その際、実質の結びの一番は次席の呼出が担当しました。

2024年1月場所14日目：本来の結びは豊昇龍休場、照ノ富士不戦勝。実質の結びは霧島対琴ノ若。
2024年3月場所7日目：本来の結びは照ノ富士休場、翔猿不戦勝。実質の結びは貴景勝対錦木。
2024年5月場所2日目：本来の結びは照ノ富士休場、大栄翔不戦勝。実質の結びは熱海富士対琴櫻。
2025年1月場所5日目：本来の結びは照ノ富士休場、豪ノ山不戦勝。実質の結びは熱海富士対豊昇龍。

功績と定年退職

2024年6月18日には、力士以外で相撲振興に貢献した人物に贈られる「永楽相撲功労賞」を受賞しました。そして、2025年1月場所中の1月19日に65歳の誕生日を迎えたため、同場所千秋楽をもって日本相撲協会を定年退職しました。最後の呼び上げは、本割では琴櫻－豊昇龍戦でしたが、その後、優勝決定戦として金峰山－豊昇龍戦と王鵬－豊昇龍戦（巴戦）を呼び上げ、その長いキャリアに幕を閉じました。

経歴

1978年3月場所：三保ヶ関部屋から初土俵。
1994年7月場所：呼出の番付制導入により、幕下呼出となる。
1995年1月場所：十両呼出に昇進。
2001年1月場所：幕内呼出に昇進。1999年11月場所から序列で克之に抜かれていたが、この時に克之の上に復帰
2002年9月場所：三役呼出に昇進。
2013年11月場所：三保ヶ関部屋閉鎖に伴い春日野部屋へ移籍。
2019年11月場所：拓郎の不祥事による退職により、呼出のトップとなる。
2024年1月場所：立呼出に昇進。
2025年1月場所：最終場所

次郎は、その長年の貢献と卓越した土俵作りの技術で、相撲界に多大な足跡を残しました。

次郎 - 日本相撲協会

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