欧州緑の党

欧州緑の党 (European Green Party)：環境と正義を求める欧州の緑の力

欧州緑の党 (EGP) は、環境問題への取り組みを旗印とする欧州規模の政党です。ヨーロッパ各地の緑の党が結集し、欧州議会では欧州自由同盟と統一会派を組んで活動しています。各国の緑の党と区別するため、本稿では便宜的にEGPと表記します。

歴史：緩やかな連携から汎ヨーロッパ政党へ

EGPの設立以前、ヨーロッパの緑の党はそれぞれ独立して活動していました。初期の協力関係は緩やかで、1979年から1993年にかけては「欧州緑の党・急進党連合 (CEGRP)」として連携を図るも、急進主義政党との意見対立から全欧州規模の選挙基盤構築には至りませんでした。

1984年には「欧州緑のコーディネーション (EGC)」を結成し、組織体制を強化。欧州議会では「Green Alternative European Link (GRAEL)」という会派を結成しましたが、規模が小さいため、影響力は限定的でした。会員政党間での「任期の半分で交代」という原則も、EGPの弱体化の一因となりました。この原則は、ドイツ緑の党で始まり、当初は国内政治における弊害を防ぐ目的でしたが、欧州議会では逆効果をもたらしました。また、親欧州主義と欧州懐疑主義の対立もEGPの足かせとなりました。

1989年の欧州議会選挙では30議席を獲得し、「グリーン・グループ」を結成。1993年には「欧州緑の党連盟」が設立され、組織はさらに強化されました。1994年、1999年の欧州議会選挙では、議席数を増やし、勢力を拡大。1999年には、欧州自由連盟と統一会派「欧州緑グループ・欧州自由連盟」を結成し、政治的な影響力を高めました。

2004年、ローマで開催された会議でEGPが正式に設立されました。32の緑の党が参加し、EGPは初めて組織された欧州規模の政党となりました。2004年の欧州議会選挙では、統一されたキャンペーンを行い、欧州連合全体での知名度向上を図りました。

主張：環境責任と社会正義

EGPは、環境責任、個人の自由、民主主義、多様性、社会正義、男女同権、持続可能な開発、非暴力などを基本理念として掲げています。欧州連合との関係については、当初は懐疑的な立場でしたが、1989年以降は欧州統合に協力的な姿勢を示すようになり、欧州連合の政策に対して現実的な代案を示すようになりました。しかし、会員政党間では、親欧州主義と欧州懐疑主義の意見の相違は依然として存在します。

インターネット政策においては、自由な情報インフラの確立を強く支持しており、ソフトウェア特許に関する統一指令への反対など、具体的な政策提言を行っています。

組織：会議、評議会、委員会

EGPの組織は、会議、評議会、委員会の3つの主要機関から構成されています。会議は会員政党と欧州議会議員の代表からなり、EGP全体の政策決定を行います。評議会は会議と会議の間に発生する政治問題に対応し、委員会は日常的な業務を担当します。

また、EGPは地域的なネットワークも構築しており、グリーン島嶼ネットワーク、バルト海グリーンズなど、地理的に近い緑の党が連携して活動しています。

会員政党と関係組織

EGPには、ヨーロッパ各国の緑の党が加盟しており、オブザーバーとして参加する政党もあります。2012年時点での会員・オブザーバー政党の一覧は、別途資料を参照してください。デンマーク緑の党は、2008年にEGPから除名されました。

EGPは、欧州緑の青年連盟、欧州緑のシニアネットワーク、欧州グリーン・ジェンダー・オブザバトリーなどの関係組織とも連携して活動しています。

欧州議会の議席推移

EGPの欧州議会における議席数は、選挙ごとに変動しています。詳細なデータは、別途資料を参照してください。

結論：環境と社会正義のための継続的な挑戦

EGPは、欧州における環境保護と社会正義の実現のために、活動を続けています。その歴史と現状を理解することで、欧州の政治状況をより深く理解することができます。今後も、EGPの動向に注目していく必要があります。

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