欧州議会議長

欧州議会議長：EUをリードする役割と選出方法

欧州議会議長は、欧州議会の活動を統括し、EU内外を代表する重要な役割を担っています。議会の議事運営、欧州議会議院規則の適用、関連組織の監督など、国内議会の議長と同様の権限と責任を持ちます。さらに、EUの予算や法律成立には議長の署名が必要となるなど、EUの立法プロセスにおいて中心的な存在です。

議会の運営における役割

議長は議会の議事進行を司り、円滑な運営を確保します。14人の副議長が議長の不在時に代行を務めます。また、事務局会議を主宰し、議会の財務や管理、各会派代表との会議も議長が進行役を務めるなど、議会の運営全般を統括しています。リスボン条約では、在任中は欧州議会議員の数にカウントされない規定が設けられています。

EUにおける位置づけ

欧州議会議長は、EUの法的事項や国際関係において欧州議会を代表します。欧州理事会の会合では、欧州議会の立場を表明し、政府間協議にも参加します。EUの予算や共同決定手続が適用される法令の成立には、議長の署名が不可欠です。また、立法手続における欧州連合理事会との調停委員会の議事進行も担当します。

EUにおいては欧州議会が最上位の機関と位置づけられており、議長は高い権威を有します。各国要人への贈り物なども議長の裁量で決定されるなど、プロトコールにおいても重要な役割を担います。

選出方法

議長の任期は2年半で、欧州議会議員の任期中に2回の選挙が行われます。1980年代以降は、欧州人民党と欧州社会党の間で議長職が持ち回りで務められてきました。ただし、両党以外の政党が議長に選出された事例もあります。

2009年以降の議長選出では、改選前の議長、もしくは副議長の中で最年長の議員が本会議の進行を務めます。この変更は、極右政党の議長就任を阻止するための措置として行われました。選挙は複数回投票制で行われ、絶対過半数を獲得した候補者が議長に選出されます。同数の場合には、年長者が選出されます。

歴代議長と歴史

欧州議会議長には、EUの父と呼ばれるポール＝アンリ・スパークをはじめ、歴史的に重要な人物が多数就任しています。また、シモーヌ・ヴェイユやニコル・フォンテーヌといった女性も議長を務めています。

まとめ

欧州議会議長は、欧州議会とEU全体の運営に不可欠な役割を担っています。議長選出は、EUの政治状況や勢力図を反映する重要なイベントであり、その過程と歴史はEUの進化を理解する上で貴重な情報となります。

もう一度検索