歌になりたい/Breath of Bless 〜すべてのアスリートたちへ

歌になりたい/Breath of Bless ～すべてのアスリートたちへ

『歌になりたい/Breath of Bless ～すべてのアスリートたちへ』は、シンガーソングライターASKAによる12作目のシングルとして、2019年11月20日にDADAレーベルからCD形式で発売されました。この作品は、ASKAのソロシングルとしては初めての両A面形式を採用しており、「歌になりたい」と「Breath of Bless ～すべてのアスリートたちへ」の2曲が収録されています。CDリリースに先立ち、同年11月6日には主要な配信サイトで先行デジタルリリースが行われました。

リリースまでの背景と動機

本作は、2009年2月発表の「あなたが泣くことはない」以来、およそ10年ぶりとなるCDシングルでのリリースとなりました。デジタルシングルとしては、先行配信された「星は何でも知っている」以来の新作となります。また、2020年3月にリリースされるアルバム『Breath of Bless』の先行シングルとしての位置づけも持っています。

近年、ASKA自身がインタビューなどでシングルの発売には消極的な姿勢を示すことがありました。しかし、本作のリリースを決意した背景には、自身の音楽を聴くリスナーの層が変化し、特に若い世代にも広がっていることを実感したことがあると語っています。この変化を受け、改めてシングルという形態でリスナーに届けたいという思いが、本作の発売へと繋がりました。なお、本作と次作のCDシングル「笑って歩こうよ」の間には、約2年間の期間が空いています。

発売形態とプロモーション

CDの正式発売に先駆けて、2019年11月6日には各音楽配信サイトにて先行配信が開始されました。特に音楽配信サイト「Weare」では、ハイレゾ音源が通常音源と同価格で提供される点が特徴でした。先行配信開始と同日には、「歌になりたい」のミュージック・ビデオのフルバージョンも公開され、楽曲の世界観を視覚的に伝えています。

本作のプロモーション活動も積極的に展開されました。発売日である11月20日から25日にかけて、タワーレコード渋谷店の大型モニターで「歌になりたい」のミュージック・ビデオが繰り返し放映されました。さらに、11月下旬には、東京・渋谷（11月25日〜12月1日の一部時間）および福岡（11月24日〜11月30日の一部時間）の街頭ビジョンでもミュージック・ビデオの一部が放送され、広く認知度を高めました。メディアへの露出としては、2019年11月16日付の毎日新聞にASKAのインタビュー記事が掲載され、本作に関する思いや背景が語られています。

テレビ出演としては、2020年9月30日放送のテレビ東京系列の音楽番組『テレ東音楽祭』に出演し、「はじまりはいつも雨」と、番組の掉尾を飾る形で「歌になりたい」を披露しました。これはASKAにとって、ソロとして初めてのテレビ東京の番組出演となり、そのパフォーマンスは放送後にSNSなどで大きな話題となりました。

楽曲解説

歌になりたい

この楽曲は、2019年2月から4月にかけて開催されたツアー『ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA -40年のありったけ-』で、まだ未発表の新曲として初めて披露されました。歌詞には「命」や「宇宙」といった普遍的なテーマが織り込まれており、聴く人それぞれの心に響く「愛の歌」として完成されています。

楽曲制作のきっかけの一つには、漫画家・楳図かずおの代表作『漂流教室』があったとASKAは語っています。歌詞は驚くべきことに、3時間未満という短時間で書き上げられたとのこと。歌詞を書いている途中で、「歌になりたい」という言葉が自然と浮かび上がってきたといいます。サビにおけるコーラスワークは、ASKA自身がリードボーカルを追いかけるような手法が特徴で、ASKAによれば、この手法はCHAGE and ASKAとして1992年に発表したヒット曲「no no darlin'」以来の試みだということです。ASKAは、この「歌になりたい」をライブで歌唱する際に、かつて「SAY YES」や「YAH YAH YAH」といった自身の大ヒット曲が世間に広く認知された後にライブで歌った時と同じような、特別な感覚を覚えたとも述べています。

ミュージック・ビデオは、アイスランドの壮大な自然の中で撮影が行われました。広大な風景と楽曲の持つスケール感が一体となり、視覚的にも楽曲の世界観を深く表現した映像作品となっています。

Breath of Bless ～すべてのアスリートたちへ

もう一つのA面曲であるこの楽曲は、2020年に開催が予定されていた東京オリンピックをイメージして制作されました。矢賀部竜成と共に約2年という歳月をかけてじっくりと制作が進められ、作家・津田真男の著書『たった一人のオリンピック』が制作の重要な原動力の一つになったと語られています。当初は「1964 to 2020 東京オリンピック」というタイトルが付けられていました。この楽曲は、2017年8月16日にアルバム『Too many people』収録曲「未来の勲章」の公開ミュージック・ビデオ撮影の場において、初めて披露されています。

ASKAはこの「Breath of Bless」について、「『歌になりたい』という楽曲をさらに力強く後押しする役割を担っている」とコメントしており、自身の存在がなくなったとしても、この曲は生き続けるだろうという強い思い入れを示しています。このような両曲の関係性から、本作を「WシングルCD」と表現しています。

参加ミュージシャン

歌になりたい

• - Piano：旭純
• - Drums：江口信夫
• - Bass：荻原メッケン基文
• - Guitar：鈴川真樹
• - Chorus：SHUUBI、藤田真由美
• - Programming：鈴川真樹、藤山祥太

Breath of Bless ～すべてのアスリートたちへ

• - Programming：矢賀部竜成

収録アルバム

本作に収録された両楽曲は、以下のアルバムにも収録されています。

• - 『ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA -40年のありったけ- in 日本武道館』 (「歌になりたい」を収録)
• - 『Breath of Bless』 (「歌になりたい」、「Breath of Bless ～すべてのアスリートたちへ」の両曲を収録)

関連項目

• - ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA -40年のありったけ- - 「歌になりたい」が初披露されたライブツアー。

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