歌姫 (中森明菜のアルバム)

アルバム『歌姫』について

「歌姫」（うたひめ）は、日本の歌手中森明菜の初のカバーアルバムであり、1994年3月24日にMCAビクターから発売されました。初版はCD (MVCD-12)とカセット (MVTD-6)の2形態で同時リリースされ、2002年12月4日に『歌姫〈スペシャル・エディション〉』として再発売されました。

アルバムの背景

このアルバムは、明菜にとって特別な意味を持つプロジェクトです。エグゼクティブ・プロデューサーの川原伸司と共同で本作の制作が進められ、8か月の長いプロセスの結果、選ばれた楽曲は9曲でした。選曲には、1960年代から1970年代の名曲が中心に集められています。

このアルバムのキャッチフレーズは「好きな歌だけ歌っていたい…」であり、制作にあたって数百曲の候補から中森自身がわくわくする楽曲を厳選しました。録音には千住明が指揮をする50人以上のオーケストラを起用し、ストリングスアレンジも施されております。

アルバムのジャケットとテーマ

ジャケットデザインには駄菓子が取り入れられています。中森はこれを、穏やかさや幼少期の思い出を表現するためだと述べています。また、ジャケットの題字は歌手の井上陽水が手掛けており、彼女とのコラボレーションも話題の一つです。

制作の経緯

川原伸司は、前アルバムのミーティングで、新たな試みとしてカバーアルバムの制作を提案しました。中森自身がカラオケで杏里の楽曲を歌唱する姿を見て、彼女の歌唱力を感じ取った川原は、カバーについて軽い気持ちで取り組んでもらう考えだったと明かします。しかし、元の楽曲には確固たる個性があるため、歌い直すことは簡単なことではなかったと振り返ります。

中森明菜のアプローチ

中森は、レコーディングの際には自身の表現を重視し、オリジナル曲をあえて聴き込むことはせず、歌唱におけるプレッシャーを和らげました。彼女の歌唱には、作品として歌を受け継ぎたいという思いが込められています。特に「私は風」では、カルメン・マキの印象より、自身の姉の歌い方に影響を受けていることを語りました。「魔法の鏡」は、マネージャーの提案に助けられ、最もリアリティを感じるものに決定されたと述べています。

ハイライトとライブパフォーマンス

1994年12月には、アルバムを引っ提げたスペシャルライブ「歌姫 パルコ劇場ライブ」を開催し、ファンとの絆を深めました。後に2002年に『歌姫〈スペシャル・エディション〉』が発売され、再度多くのファンに楽しまれています。

歌姫シリーズの展開

このアルバムは、2002年のカバーアルバム第二作『-ZEROalbum- 歌姫2』の始まりとなり、歌姫シリーズとして広がりました。シリーズ全体ですべての作品を通じて、多くのファンに愛されてきました。今回の作品も、累計で100万枚以上の売り上げを記録しました。

批評と評価

『CDジャーナル』や『ミュージック・マガジン』などでは、彼女の声の魅力や歌唱力が高く評価されています。特に小野島氏は、緊張感のあるボーカルが絶妙であるとし、三田氏は彼女の音楽スタイルの独特さを指摘しています。『WHAT's IN?』のコメントからも、カバーアルバムに対する新たな視点が示されています。

チャートの成績

本作は、オリコン週間アルバムチャートで1994年に初登場し、最高5位に達しました。CD盤とカセット盤は、どちらも多くの週にわたりランクインし、リスナーからの支持を証明しました。

このように、アルバム『歌姫』は中森明菜の音楽キャリアの新たな一面を示す作品であり、今なお多くのファンによって愛され続けています。

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