歌姫楽団

歌姫楽団

歌姫楽団（うたひめがくだん）は、2000年に始動し、女性ボーカリスト樋口舞を中心に、ギターの田口慎二、ベースの縫田隆、ドラムスの森秀輝といった男性メンバー３名で構成された日本の音楽バンドです。結成から2011年の解散までの約11年間、都内、特に下北沢や吉祥寺といったライブハウスシーンを中心に精力的な活動を展開しました。

このバンドの最大の特色は、その独創的な音楽性にあります。彼らは自らを「ネオ昭和歌謡ロックバンド」と称し、昭和歌謡のレトロな雰囲気を核としながらも、シャンソン、ジャズ、ビッグバンド、ロック、ブルースといった非常に幅広いジャンルの要素を大胆に取り込みました。その結果生み出される楽曲は、どこか懐かしさを感じさせつつも、同時に全く新しい響きを持つという、独自のサウンドを確立していました。

歌姫楽団の認知度を高める上で大きな役割を果たしたのが、NHKの音楽番組『熱唱オンエアバトル』への出演です。2004年から番組に登場し、その質の高いパフォーマンスと個性的な楽曲で支持を集めました。特に2006年には、番組のクライマックスであるチャンピオン大会に進出。決勝まで駒を進めるという目覚ましい活躍を見せ、全国的な注目を集めることとなりました。この番組での成功が、その後のメジャーデビューへの道を拓くことになります。

ストリートパフォーマンスにも積極的に取り組み、銀座や溝口の路上で演奏を行いました。この活動がテレビ朝日の音楽番組『ストリートファイターズ』のスタッフの目に留まり、番組での特集や公開収録ライブへの出演に繋がり、ピックアップアーティストとして紹介されています。また、彼らは定期的に自主企画イベント「亜細亜号水玉響演」（アジアゴウミズタマレビュー）を開催し、独自のコミュニティを築き上げました。2003年にはフェンダー協賛のバンドコンテスト「ONフェス」で優勝するなど、その演奏力と楽曲の魅力は早くから高く評価されていました。

『熱唱オンエアバトル』でのブレイクを経て、歌姫楽団は2006年8月にテイチクエンタテインメントよりメジャーデビューを果たします。メジャーでの活動中には、複数のアルバムやシングルをリリースし、その音楽性をさらに多くのリスナーに届けました。特に、メジャーデビューアルバム『彩色千輪菊』やセカンドアルバム『東京近代少女〜トーキョー・モダン・ガール〜』では、彼らの多様な音楽性が凝縮された楽曲が収録されています。

バンドのメンバーは結成当初から変化もありました。初期にはピアノやトランペットを含む編成でしたが、活動期間中に一部のメンバーが脱退し、最終的にはボーカル、ギター、ベース、ドラムという４ピースバンドとなりました。この間、様々なサポートメンバーが彼らの音楽活動を支えています。

残念ながら、歌姫楽団は2011年11月11日、吉祥寺スターパインズカフェでのワンマンライブをもって解散しました。このライブは350名の観客で埋め尽くされ、盛況のうちにその活動に幕を下ろしました。

インディーズ時代には『ROOM148』、『亞細亞号の夜』といったアルバムを、メジャーでは『彩色千輪菊』、『東京近代少女〜トーキョー・モダン・ガール〜』をリリース。シングルとしては『銀座ミッドナイトアワー』、『クラムボンウォータードロップス』、『情熱の華』、『万華鏡』などを発表しています。彼らの残した楽曲は、今もなお、その独特の世界観と高い音楽性をもって多くの人々に記憶されています。

歌姫楽団は、短い活動期間ながらも、「ネオ昭和歌謡」という独自のスタイルを確立し、テレビ番組での活躍やライブ活動を通じて多くのファンを魅了しました。その音楽は、時代を超えて愛される可能性を秘めています。

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