歌川国貞 (3代目)

三代目歌川国貞

三代目歌川国貞（さんだいめ うたがわ くにさだ）は、1848年に生まれ1920年に亡くなった、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した浮世絵師である。彼の名は、特に文明開化の時代における風俗や役者絵の表現で知られている。国貞は様々な号を持ち、梅堂や香蝶楼、豊斎などと名乗った。

来歴

国貞は東京の日本橋で生まれ、母方の姓である竹内を名乗る。11歳の時に、当時の著名な浮世絵師である三代目歌川豊国に師事し、絵画の技術を磨いた。豊国の死後、彼は職業として国貞を名乗り始め、以降も多くの作品を制作する。

彼は主要な活動の場である深川から後に浅草に転居し、そこで彼の作品は数多くの支持を受けた。国貞は幅広いジャンルを扱い、特に役者絵の分野では初代市川左團次の似顔絵が人気であった。

また、彼の作品には「東京十二景」や「東京写真名所一覧」、「東京開化名景競」といったシリーズが含まれ、三代目歌川国貞はこれらを通じて都市の発展や文化の変化を描写した。

作品とスタイル

国貞の作品は、主に文明開化をテーマにしたものであり、多くの交通機関や街の風景が描かれた。例えば「東京新橋鉄道繁栄並高輪遠景」や「横浜鉄道蒸気車通行之図」などは、明治時代の近代化を象徴する作品である。彼はまた、団扇絵や新聞挿絵、役者絵なども手がけ、多岐にわたるスタイルの表現力を誇った。

「おはりや下さしきの図」や「江戸開府三百年祭」といった作品も有名で、特に役者絵では市川左団次をテーマにした作品が多く、彼の名を世に知らしめる重要な要素となった。

国貞の門人には五代目歌川国政や二代目歌川国虎、尾竹国一がおり、彼の影響力は後代にも続いている。

最後の年

大正9年、国貞は73歳でこの世を去った。彼の死は、日本の浮世絵界における一つの時代の終焉を意味した。国貞が描いた作品は、当時の社会や人々の生活、そして日本文化がどのように変化していったのかを知る重要な資料となっている。彼の残した浮世絵は、今日でも多くの人々に愛され、研究され続けている。

国貞の浮世絵は、江戸から明治への橋渡し的な存在として、現代のアートや文化にも影響を与えており、彼の業績は永遠に語り継がれていくことであろう。

もう一度検索