歌川芳綱

歌川芳綱（生没年不詳）は、江戸時代に活躍した浮世絵師です。歌川国芳の門人であり、本姓は田辺、俗称は清太郎と称しました。一灯斎、一登斎、一度斎といった号を用いています。

芳綱は、主に嘉永から慶応の頃にかけて作品を制作しており、下槙町（現在の日本橋三丁目）に居を構えていました。彼の作品は、武者絵、諷刺画、風俗画、双六絵など多岐にわたります。

代表的な作品としては、以下のようなものが挙げられます。

江戸火消勢揃之図: 嘉永5年（1852年）に制作された大判錦絵3枚続。
江戸町並火消し之図: 嘉永5年の作品で、江戸東京博物館に所蔵されている大判錦絵3枚続。江戸の町並みと火消しの様子が描かれています。
於宿下り遊参双六: 嘉永頃に制作された大判錦絵で、江戸東京博物館に所蔵されています。
年中行事一覧: 安政5年（1858年）に制作された大判錦絵2枚続。一燈斎芳綱の落款があります。
新版春戯程芳双六: 国芳の作で、国芳門人芳綱が画を担当した双六絵。
虎図: 瓦版として制作された作品。

芳綱の作品は、当時の江戸の風俗や文化を сегодняに伝える貴重な資料となっています。特に、火消しを題材とした作品は、当時の消防の様子を知る上で重要な役割を果たしています。双六絵は、当時の人々の娯楽や流行を知る手がかりとなります。

芳綱に関する研究は、以下の文献で見ることができます。

井上和雄編『浮世絵師伝』渡辺版画店、1931年
日本浮世絵協会編『原色浮世絵大百科事典』（第2巻）大修館書店、1982年
* 『歌川国芳とその一門展』浮世絵太田記念美術館、1990年

これらの文献を通して、芳綱の生涯や作品についてより深く知ることができます。

歌川芳綱は、歌川国芳の門人として、江戸の風俗や文化を鮮やかに描き出した浮世絵師です。彼の作品は、当時の人々の生活や価値観を反映しており、歴史的な資料としても高く評価されています。

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