歌登町営軌道

歌登町営軌道の詳細

歌登町営軌道（うたのぼりちょうえいきどう）は、北海道の枝幸郡にあたる歌登町・枝幸町および中頓別町を結ぶ、かつて存在した簡易軌道です。この軌道は1939年に開通し、地域の輸送手段として重要な役割を果たしました。

路線の概要

歌登町営軌道には、2つの主な路線が存在しました。枝幸線として知られる小頓別から枝幸間の路線は、総距離35.0kmで、歌登との接続後に歌登線として改名されました。また、幌別線は幌別から志美宇丹間の12.6kmを結んでいました。これらの路線は762mmの狭軌によるもので、複線区間や電化区間は設けられていませんでした。

歴史的経緯

歌登町営軌道の歴史は1918年に遡ります。当初は宗谷線が枝幸町を経由する予定でしたが、計画が変更され、音威子府村から頓別村へ直線で繋がることとなりました。それに伴い、小頓別駅から枝幸町へと伸びる簡易軌道が計画されることになりました。1928年には造材業者が進出し、同年中には軌道の敷設が始まりました。1929年12月には、小頓別から歌登付近までの路線が正式に開通しました。これに続き、翌1930年には枝幸までの区間も全通し、地域の物流に寄与しました。

運営は初め、枝幸殖民軌道利用組合が行っていましたが、1932年からは北海道庁が直接運営を行うようになりました。初期の動力は馬によるものでしたが、1933年にはガソリン機関車が導入され、輸送効率が向上しました。冬季の雪による影響から、一部区間では運行が休止されることも多く、地域住民が協力して除雪を行う光景が見られました。

トンネルの建設

小頓別-毛登別間には急勾配があるため、事故が頻発しました。このため、1941年に毛登別トンネルの建設が始まりましたが、工事は1948年に完成しました。しかし、トンネル内部は湿気が多く、木造の支持材が早期に劣化し、崩落事故も頻繁に発生しました。これを受けて、1953年から1956年にかけて北海道開発局によって、コンクリート巻き立て工事が行われました。

経営の変遷と廃止

戦後、歌登村によって経営が引き継がれ、1956年には自走客車が導入されました。しかし、1971年以降、利用者の減少とともに路線は縮小し、最終的には1971年に歌登線は廃止となりました。理由には、美幸線の建設に伴う軌道撤去の要求や、国の補助金が打ち切られたこと、そして交通手段の変化などがありました。

累積赤字は6500万円に達し、1972年には北海道から融資を受け、その後ほぼ無償で町に払い下げられました。簡易軌道の多くが市販の時刻表に掲載されない中、この路線はその重要性から長い間掲載され続けました。

現在と保存車両

現在、かつての歌登町営軌道に関する遺構として、「うたのぼり健康回復村」内にはディーゼル機関車が保存・展示され、町の歴史を伝えています。かつての車庫跡は現在バス車庫として利用されており、当時の名残を感じさせる場所となっています。廃線を迎えた歌登町営軌道は、地域の交通インフラの歴史の一部として、今後も振り返られることでしょう。

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