小頓別駅

小頓別駅（しょうとんべつえき）

北海道枝幸郡中頓別町字小頓別にかつて存在した、北海道旅客鉄道（JR北海道）天北線の駅です。この駅は、1989年（平成元年）5月1日の天北線全線廃止に伴い、その歴史に幕を閉じました。

設立と発展

小頓別駅は、1914年（大正3年）11月7日、鉄道院宗谷線の音威子府駅と当駅の間が開通した際に一般駅として開設されました。当初は終着駅でしたが、1916年（大正5年）10月1日には宗谷線が中頓別駅まで延伸され、中間駅となりました。その後、路線名は宗谷本線（1919年）を経て北見線（1930年）、そして1961年（昭和36年）には天北線と改称され、その一駅として位置づけられました。

この駅は、周辺で豊富に産出される木材や紙パルプの主要な積み出し拠点として栄えました。特に貯木場は道北地域でも屈指の規模を誇り、1963年（昭和38年）にはパルプ材だけで年間7万トンもの輸送を担うなど、地域の林業を支える重要な役割を果たしていました。

また、当時国鉄線が通じていなかった歌登町（現在の枝幸町歌登）への玄関口としての機能も担っており、歌登方面へ向かう人々にとっての鉄道利用拠点でした。このため、優等列車である急行「天北」も停車し、利便性の高い駅として多くの人々に利用されました。駅前からは、枝幸方面へ向かう宗谷バスが接続し、鉄道とバスを結ぶ結節点としての役割も果たしていました。

駅の変遷と終焉

公共企業体である日本国有鉄道に1949年（昭和24年）6月1日に移管された後も、駅は運行を続けました。しかし、時代の流れとともに輸送形態は変化していきます。1982年（昭和57年）6月1日には貨物の取り扱いが廃止され、続いて1984年（昭和59年）2月1日には荷物の取り扱いも終了し、旅客専業駅となりました。そして、国鉄分割民営化により1987年（昭和62年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）の駅となりましたが、それからわずか2年後の1989年（平成元年）5月1日、天北線の廃止に伴い、その歴史に終止符を打ちました。

かつては、北海道開拓のために整備された軌道の一つである歌登村営軌道（後の歌登町営軌道）が1929年（昭和4年）12月1日から1970年（昭和45年）11月1日まで当駅に接続していました。これは、一部区間が重複する美幸線の未成区間建設促進という背景もあり廃止されています。

駅構造と駅名の由来

廃止時点の小頓別駅は、相対する形で配置された2面の単式ホームを持つ、列車交換が可能な地上駅でした。ホームは互いにずれた位置に配置されており（千鳥式）、これらは駅舎近くのホーム西側と反対側のホーム東側を結ぶ構内踏切で連絡されていました。駅舎側の南側ホームが上り列車用、北側ホームが下り列車用として使用されていました。

かつては豊富な林産資源の輸送に対応するため、多くの貨物側線を有していましたが、貨物取扱廃止以降はほとんどが撤去されました。1983年（昭和58年）の時点では、転轍機は撤去されていましたが、専用線の一部が残存していました。駅舎は構内の南側に位置し、職員が配置された駅でした。

駅名の由来は、開業当時の地名に由来します。植民区画の際に種々の冠字が付された中で、この地域は「小」が冠されており、それが駅名として採用されたものです。

駅周辺と現在の様子

小頓別駅周辺には小規模な市街地が形成されていました。1980年（昭和55年）頃の人口は約500人程度で、複数の製材会社が操業する「木材の街」として賑わっていました。当時の繁栄を偲ばせる建物として、旧丹波屋旅館が残されており、これは2000年に国の登録有形文化財に登録されています。

駅周辺には北海道道400号小頓別停車場線をはじめ、北海道道12号枝幸音威子府線や国道275号（頓別国道）といった道路が通じています。また、小頓別郵便局なども駅の近くにありました。地理的には、南西に天北峠が位置し、駅の南側には頓別川、近くには小頓別川が流れています。廃止後も、駅の場所に設置された宗谷バスの「小頓別」バス停留所が、天北宗谷岬線や都市間バスの停車地として地域の交通を担っています。

駅跡地は、1997年（平成9年）や2010年（平成22年）の時点ではバスターミナルとして利用されており、現在もロータリーとして宗谷バスの車両転換に使われています。また、かつて貯炭場として使われていたと思われるコンクリート構造物の遺物も見受けられました。駅跡周辺の線路跡地は、頓別川の改修工事による流路変更の影響で、川や河川敷となっています。しかし、駅跡から南稚内方面へ少し行った場所には、2011年（平成23年）の時点でも長屋沢川橋梁がかつての鉄路の痕跡として残されています。

隣接駅

天北線における小頓別駅の隣は、音威子府寄りが（臨）上音威子府駅、浜頓別寄りが上頓別駅でした。また、かつて上音威子府駅との間に天北栄仮乗降場が存在した時期もありました。

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