歌謡カヴァーソングス

歌謡カヴァーソングス

「歌謡カヴァーソングス」は、日本の男性歌謡コーラスグループである「はやぶさ」が、2013年11月27日にビクターエンタテインメントからリリースした、彼らにとって初めてとなるミニアルバム作品です。グループの正式名称は「はやぶさ」であり、このアルバムタイトルは読み仮名で「かようカヴァーソングス」となります。この作品は、その名の通り、日本の歌謡史に燦然と輝く名曲の数々を、はやぶさならではのスタイルでカヴァーしたコンセプトアルバムとして制作されました。

アルバム概要と背景

2012年にデビューした「はやぶさ」は、若手ながらも昭和歌謡やムード歌謡といったジャンルを得意とし、ベテラン歌手にも劣らない歌唱力と、メンバー間の美しいハーモニーで注目を集めていました。彼らの音楽性の一端を示すかのように、このファーストミニアルバムでは、彼らが敬愛する往年の名曲たちに新たな解釈とアレンジを加え、現代に蘇らせることを試みています。デビューから約1年というタイミングでリリースされたこのミニアルバムは、彼らの音楽的な幅広さと、歌謡曲を未来へと繋いでいくという彼らの意気込みを示す重要な作品と言えるでしょう。

収録曲とその魅力

アルバムには、歌謡史に名を刻むムード歌謡や演歌、女性ボーカル曲など、バラエティ豊かな6曲が収録されています。それぞれのオリジナル楽曲が持つ雰囲気や世界観を大切にしつつも、はやぶさの3人の声が織りなすハーモニーが加わることで、原曲とはまた異なる魅力が引き出されています。

以下に収録曲を紹介します。

小樽のひとよ (オリジナル歌唱: 鶴岡雅義と東京ロマンチカ)
1967年に発表されたムード歌謡の代表曲。切ない歌詞とメロディが印象的な楽曲で、はやぶさは哀愁漂うハーモニーでこれを表現しています。（演奏時間: 3分46秒 / 編曲: 伊戸のりお）

なみだの操 (オリジナル歌唱: 殿さまキングス)
1973年の大ヒット曲。夫婦間の情愛を歌った演歌グループの代表作。はやぶさによるカヴァーは、原曲の持つ力強さと哀愁を受け継ぎつつ、若々しい歌声で新たな魅力を加えています。（演奏時間: 3分49秒 / 編曲: 伊戸のりお）

愛して愛して愛しちゃったのよ (オリジナル歌唱: 和田弘とマヒナスターズ&田代美代子)
1966年に発表された軽快なテンポのムードコーラス曲。ユーモラスな歌詞と明るい曲調が特徴。はやぶさの瑞々しい歌声とハーモニーが、原曲の楽しさを引き立てています。（演奏時間: 3分11秒 / 編曲: 伊戸のりお）

泣かないで (オリジナル歌唱: 和田弘とマヒナスターズ)
1965年のマヒナスターズのヒット曲。男性の強がりと切なさを歌ったムード歌謡の定番。はやぶさの表現力豊かな歌唱が光る一曲です。（演奏時間: 3分51秒 / 編曲: 前田俊明）

よせばいいのに (オリジナル歌唱: 三浦弘とハニーシックス)
1972年に発表されたムード歌謡。後悔の念を歌った楽曲で、多くの歌手にカヴァーされています。はやぶさは、この曲に込められたやるせない心情を、彼らのハーモニーで丁寧に紡ぎ出しています。（演奏時間: 3分48秒 / 編曲: 前田俊明）

女の意地 (オリジナル歌唱: 西田佐知子)
1965年に発表された女性歌謡曲のスタンダード。強い意志を持つ女性の心情を歌った名曲です。男性グループであるはやぶさがこの楽曲をカヴァーすることで、原曲とは異なる視点や解釈が生まれ、楽曲に新たな深みを与えています。（演奏時間: 3分58秒 / 編曲: 石倉重信）

編曲陣には、伊戸のりお氏、前田俊明氏、石倉重信氏といった日本の歌謡曲界で活躍するベテランアレンジャーたちが名を連ねており、各楽曲が持つ世界観を現代にふさわしいサウンドで表現することに貢献しています。

アルバムが示すもの

「歌謡カヴァーソングス」は、単なる既存曲の焼き直しではなく、「はやぶさ」というグループが、日本の歌謡曲の伝統を受け継ぎながらも、新しい世代に向けてその魅力を再提示しようとする意欲的な試みと言えます。若々しくも安定した歌唱力と、温かみのあるハーモニーで歌い上げられるこれらの楽曲は、原曲を知る世代には懐かしさを、そして新しい世代には新鮮な魅力を与えることでしょう。このミニアルバムは、彼らの音楽活動において、歌謡曲カヴァーという方向性を確立する上で重要な位置を占める作品となりました。

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