歌謡曲ぶっつけ本番

歌謡曲ぶっつけ本番：関西ラジオ黄金期の14年間

1975年3月31日から1989年10月5日まで、朝日放送ラジオ（ABCラジオ）で放送された『歌謡曲ぶっつけ本番』。平日午後の時間帯を14年間もにぎわせた人気番組の全貌に迫ります。

番組誕生の背景

朝日放送は、早朝ワイド番組で成功を収めていましたが、午後帯はスポンサー付き番組が中心で、生放送のワイド番組がありませんでした。他局では既に『グアムグアムリクエスト』（MBSラジオ）や『バンザイ歌謡曲』（ラジオ大阪）といった生ワイド番組が人気を博しており、ABCラジオも新たな番組の必要性を感じていました。

こうした状況の中、1975年4月の番組改編で、『ポップ対歌謡曲』の後に『歌謡曲ぶっつけ本番』がスタートしました。

番組内容と人気

『歌謡曲ぶっつけ本番』は、関西で活躍するタレント、フリーアナウンサー、朝日放送アナウンサーの男女1名ずつのコンビが、曜日ごとにパーソナリティを担当。リスナーからのリクエスト曲を交え、ニュース、天気予報、交通情報などの情報を提供していました。

番組を盛り上げたのは、リスナー参加型のコーナーの数々でした。クイズコーナーでは、10万円が詰まった千両箱がプレゼントされることも。また、自動車電話を搭載したラジオカー「テレッカー」による生中継や、「ふれあいエプロン」「ふれあいバッグ」などのプレゼント企画も人気を博しました。

多彩なコーナーとパーソナリティ

放送期間中、数々のコーナーが展開されました。

主なコーナー（放送期間により変動）

ミュージックプレゼント
ぶっつけタウンレポート
東西お笑い劇場
ぶっつけ本番ベスト10
気軽なパートナー やぁ! お元気ですか ぶっつけスポーツ談義
クイズ1・2・3
ベストテン情報
昼下りの電話帳
スタンバイOK! こちらテレッカーです
ぶっつけふれあいトーク
合言葉プレゼント
ぶっつけ横丁

パーソナリティも豪華な顔ぶれが揃っていました。上岡龍太郎、桂春蝶、上沼恵美子といった著名なタレントの他、朝日放送のアナウンサーである道上洋三、乾浩明なども出演していました。曜日ごとにパーソナリティが変わることで、番組に変化と新鮮さを与えていました。 出演者は時期によって変更されており、長年番組を支えた人もいれば、短期間の出演者もいました。

番組後期のリニューアルと終焉

1980年代中盤以降、毎日放送の『それゆけ!』や『すみからすみまで角淳一です』といった番組が人気を集め始めると、『歌謡曲ぶっつけ本番』も視聴率維持のため、マイナーチェンジやリニューアルを繰り返しました。1985年にはABCエキスタからの公開生放送を実施。1988年には「金曜スペシャル」枠を新設し、やしきたかじん、桂三枝（現・六代桂文枝）といった人気タレントを起用しました。

しかし、時代の流れと共に、1989年10月5日、14年間の歴史に幕を閉じました。同日16時には後番組『おしゃべり横丁ABC』がスタートしました。

まとめ

『歌謡曲ぶっつけ本番』は、曜日ごとに異なるパーソナリティと、多彩なコーナーでリスナーを楽しませた、関西を代表するラジオ番組でした。14年間という長い放送期間を通して、多くのリスナーに愛された番組は、関西ラジオ史に輝く一ページを刻んでいます。その魅力は、単に歌謡曲を流すだけでなく、リスナーとのコミュニケーションを重視し、時代に合わせて変化を遂げようとした番組制作姿勢にあったと言えるでしょう。

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