正丸峠

正丸峠について

正丸峠（しょうまるとうげ）は、埼玉県の飯能市と秩父郡横瀬町の境に位置する標高636mの峠で、秩父と奥武蔵を結ぶ重要な地点です。この峠は江戸時代から人々に利用されてきた歴史があり、当時は秩父札所巡礼の一環としても用いられていました。現在、その当時の名残を留めるべく「旧正丸峠」と称されている道が存在しています。

峠の道は、1982年に開通した正丸トンネルの供用に伴い、国道299号の一部としての役割を持っていました。西武鉄道の西武秩父線も、正丸駅と芦ヶ久保駅間のトンネルを介して、峠の地下を通過しています。峠道は現在でも通行が可能で、通年を通じて利用されています。道は完全に舗装されていますが、一部は狭く、路面が荒れているため、自動車運転の際には注意が必要です。また、冬季には積雪があるため、さらに慎重な運転が求められます。

峠の西側は県道53号青梅秩父線に接続しており、東側には国道299号の正丸トンネル出口があります。この峠からは美しい奥武蔵の山々を望むことができ、茶店も点在しており、休憩スポットとして親しまれています。

1980年代後半から90年代後半にかけて、この正丸峠はバイク enthusiasts、特に「ローリング族」の集う場所となり、スリルと快感を求めるライダー達に人気を誇りました。その影響で、事故も多発しました。その名残として、横瀬側のガードレールには当時のローリング族の名称やステッカーが数多く見受けられ、往時の雰囲気を伝えています。また、人気アニメ『頭文字D Second Stage』においても、重要なシーンの舞台として登場し、ゲーム版にも収録されています。これにちなんだ関連グッズが峠の茶店で販売され、多くのファンを引き寄せています。

正丸峠は美しい自然環境に恵まれ、特に夜間はアライグマやシカなどの野生動物が出没することが多いのも特徴です。運転の際は注意が必要です。さらに、峠から北東へ約1kmの地点には旧正丸峠（標高655m）があり、これは江戸から秩父へ向かう「吾野通り」として知られる登山道が続いています。

正丸トンネル

正丸トンネル（しょうまるトンネル）は峠近くに設けられた道路と鉄道のトンネルで、約数百メートル離れた位置にそれぞれ設置されています。国道299号のトンネルは1982年3月に開通し、全長は1,918mです。このトンネルの両端には、旧道への分岐がある信号付きの交差点があり、横瀬側には開通記念碑も建立されています。

冬季は特に路面の積雪や凍結に注意が必要で、トンネルを境にして天候の変化が起こることがあります。飯能側では雨が降っていても、横瀬側では雪が降っていることも珍しくありません。夏季には高温が続く日が多く、時折雷雨があるため、訪れる際には天候にも気を配ってください。

西武鉄道西武秩父線

一方、西武秩父線に関連する正丸トンネルは1969年に開通し、全長は4,811mです。これは当初単線として建設されましたが、トンネル内に複線区間も存在しています。このトンネルは1967年に工事が始まり、1969年1月に貫通、同年5月に完成を見ました。建設にかかるコストは約80億円で、当時は日本の私鉄における最長の山岳トンネルとして記録されていました。

正丸峠は、歴史深い峠道だけでなく、自然を楽しむための絶好のスポットでもあります。訪れた際には、ぜひその美しさと静けさを感じてみてください。

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