正法寺 (奥州市)

正法寺（しょうぼうじ）について

正法寺は、岩手県奥州市水沢黒石町に位置する曹洞宗の亀寺で、山号は大梅拈華山（だいばいねんげざん）と称します。本尊として如意輪観音を祀っている正法寺は、かつては大本山である永平寺や總持寺に次ぐ第三本山とされていました。1990年には本堂を含むいくつかの建物が国の重要文化財に指定され、その歴史と意義が認められています。

歴史

曹洞宗の拠点としての発展

正法寺は1348年（貞和4年）に無底良韶（むていりょうしょう）によって建立されました。当時、黒石寺の奥の院に曹洞宗の道場が設立され、これが東北地方における初の曹洞宗寺院の始まりとされています。無底は、1342年（康永元年）に師である峨山韶碩から袈裟を授けられ、この道具は曹洞宗の伝承を象徴する重要な意味を持っていました。

1350年には、崇光天皇から「出羽奥州両国における曹洞の第三の本寺」として認められ、住職に紫衣の着用が許可されました。しかし、1361年に無底が亡くなると、その後は門弟である月泉良印が正法寺を継承し、この寺の発展の礎を築きました。月泉は40年にわたり住職を務め、多くの弟子たちを輩出して曹洞宗の教えを広めました。

正法寺は最盛期には508とも1200ともされる末寺を持つまで成長しましたが、1615年（元和元年）には幕府の法度によりその地位を失い、現在は72の末寺を持つに至りました。

火災による焼失

正法寺は火災が多い寺院でもあり、1444年から1799年にかけて6回の火災が記録されています。特に1799年の火災は、月泉良印の400回忌の当日に起こり、寺院のほとんどが焼失しました。しかし、仙台藩の支援を受けて数十年後に本堂と庫裏が再建されました。この復興時には、藩のシンボルが随所に施されているのが見られ、藩が正法寺の再生において重要な役割を果たしました。

最近の出来事

2013年には、寺院の専門僧堂で暴力事件が発生し、2名の修行僧が逮捕される事態となりました。この事件を受けて、曹洞宗宗務庁は専門僧堂の認可を取り消しましたが、2017年には再開されました。

重要文化財

正法寺には以下の重要文化財が存在します。

• - 本堂: 江戸時代後期に仙台藩によって再建され、面積720坪を誇る日本一の茅葺屋根を持つ大規模な建築です。
• - 庫裏: Edo時代後期に再建された寄棟造の茅葺きの建物です。
• - 惣門: 1665年に建てられた四脚門です。これらの建物は正法寺の歴史的な価値を示しています。

平成の大改修

1995年から1999年にかけて大規模な改修が行われ、国や地方の支援を受けて22億700万円が投じられました。この中で、惣門や鐘楼堂、庫裏が修復され、特に惣門には極彩色の仏画が発見されました。

まとめ

正法寺は、その長い歴史と豊かな文化的背景を持つ寺院であり、現代でも多くの信仰を集めています。火災や事件を乗り越え、地域に根付いた存在として、これからも伝統を守り続けていくことでしょう。

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