正流斎南窓

正流斎 南窓（しょうりゅうさい なんそう）

正流斎南窓は、講談という日本の伝統的な語り芸における名跡の一つであり、特に田辺派に属する流れを汲みます。この流派は、田辺南鶴を祖とし、さらに柴田派へとつながる系譜を持っています。正流斎南窓の代々の継承者たちは、それぞれの時代において独自のスタイルを確立し、この伝統芸能の発展にも寄与してきました。

初代

正式に正流斎南窓の名を名乗ったのは、初代の柴山山二郎（または芝山腎助常晴）です。彼は1770年に房州冨浦村で生まれ、18歳のときに江戸へ移住しました。初めて講談の世界に入った時期や、本人がいつから「正流斎南窓」として活動を開始したかは不明ですが、彼の創作活動はこの名跡に名を残しました。彼の影響は後の世代にも引き継がれています。

2代目

2代目は、初代柴田南玉が名乗ったとされています。詳細は明らかではないものの、この時期の講談の進展に寄与したと考えられます。

3代目

3代目の正流斎南窓は松本庄三郎という名で、生年は不詳です。1891年頃に亡くなったと言われており、初代南玉の弟子としてその技術を受け継ぎました。彼の特徴は、講談中に首を振る独特なスタイルにあり、こうした姿勢から「首振りの南窓」というあだ名をはじめとする愛称も持っていました。1887年には講談組合を脱退し、大道芸の辻講釈に転向し、「此方賀気楽」という名前で活動していました。

4代目

4代目は松本鉄之助と名乗り、その生没年は不明ですが、3代目の実子です。彼の初めの名は南海で、その後に桃川燕林の門下で燕飛と名乗っていました。1892年には正流斎南窓の名跡を受け継ぎました。彼の本名からは「鉄南窓」という呼び名もあったようです。

5代目

最後の5代目となるのは、高野藤八で、文久1年（1861年）に生まれ、1923年に亡くなりました。彼は江戸の神田に生まれ、幼少期から辻講釈で活躍し、「松柳亭太麗」と名乗っていました。23歳で、辻講釈の名手である蜻蛉切平八の婿養子となり、その後初代柴田南玉の弟子として「鶴窓」を経て正流斎南窓を襲名しました。のちには養父の寄席の経営を引き継ぎましたが、1923年にはその寄席の下足番に命を奪われるという悲劇に見舞われました。

脚注と参考文献

正流斎南窓の歴史とその名跡は、江戸時代から続く講談芸の複雑な系譜を映し出しています。各代の演者たちはそれぞれ異なるスタイルと背景を持ち、講談という芸能の多様性を形成してきました。この名跡についての詳しい情報は、『日本芸能人名事典』などの資料に詳述されています。また、様々な外部リンクも存在し、深く研究するための資料が提供されています。

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