正統 (明)

正統（せいとう）は、中国の明王朝において、1436年から1449年までの期間に使用された元号です。この元号は、明の第六代皇帝である英宗（えいそう）の在位中に用いられました。そのため、英宗は「正統帝」と呼ばれることもあります。しかし、英宗の治世は一度中断しており、彼は後に第八代皇帝として再び即位し、その際には元号を「天順（てんじゅん）」と改めたため、「天順帝」とも称されます。

正統の時代には、明朝にとって非常に重要な出来事である「土木の変（どぼくのへん）」が発生しました。1449年、英宗は親征を行い、モンゴル系の遊牧民であるオイラトとの戦いに臨みます。この戦いで明軍は大敗を喫し、英宗自身もオイラトの捕虜となってしまうという、国家存亡の危機に直面しました。

この事態を受けて、朝廷は英宗の弟である朱祁鈺（しゅきぎょく）を新たな皇帝として擁立し、彼が第七代皇帝・景泰帝（けいたいてい）として即位することになります。景泰帝は即位後、元号を正統から「景泰」へと改め、新たな政治体制を築こうとしました。

このように、正統という元号は、英宗の治世における前半部分、特に土木の変という重大な事件が起こった時期を象徴する言葉と言えます。英宗の二度にわたる即位と元号の変更は、明朝の歴史において特異な出来事であり、後の時代にも大きな影響を与えました。

西暦との対照表



関連事項

土木の変：正統14年（1449年）に発生した明朝とオイラトの間の戦いであり、明の皇帝である英宗が捕虜となるなど、明朝にとって大きな転換点となった事件。
道蔵：道教の経典を集めた書物。

正統という元号は、明朝の歴史を理解する上で重要なキーワードであり、その期間に起こった出来事は、後の明朝の政治や社会に大きな影響を与えました。

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