道蔵

道蔵（どうぞう）について

道蔵とは道教の基本的な経典で構成された大蔵経を指します。道蔵は「正統道蔵」や「続道蔵」と呼ばれ、合わせて5485巻からなる重要な文書です。道教の教義や理念を体系化した経典が収められており、宗教的な学問や思想の研究にも重要な資料とされています。

その成立の経緯

道蔵の成立は、南北朝時代の5世紀前半にさかのぼります。この時期、江南地方において「三洞説」が提唱され、それに基づいて道教の経典が整理されました。この分類は大きく三部に分かれています。

• - 洞真部：上清経を中心とした部分
• - 洞玄部：霊宝経を中心とした部分
• - 洞神部：三皇文を中心とした部分

この三穴部門の整理が道蔵の成立とされています。その後、武則天の時代に編纂された『一切道経音義』も道蔵の形成に寄与したと考えられています。続いて、道君皇帝・玄宗は開元年間（713年 - 741年）に『三洞瓊綱』と称される道蔵を編纂しました。

宋代に入ると、道教の信者であった真宗代により、4,566巻の『大宋天宮宝蔵』や『宝文統録』の二つの道蔵が編纂されています。編者の張君房によって撰された『雲笈七籤』122巻を通じて、これらの道蔵の内容が明らかになっています。さらに、その後の金代には『大金玄都宝蔵』が編纂され、6,445巻に及びました。元代にはこれらの資料を取り入れ、全真教の典籍が加えられ、今日の道蔵の原型が形成されました。

元代以前に認められる道蔵は、1244年に成立した「玄都宝蔵」がわずかに現存しており、それ以外は現在確認されていません。

現行の道蔵

現在利用される道蔵は、明の正統年間に編纂された「正統道蔵」とその続編にあたる「万暦続道蔵」です。この現行本は、1923年から1926年にかけて上海商務印書館が刊行した涵芬楼影印本が基本となっており、その底本は北京市の白雲観蔵本です。この白雲観蔵本は道光25年（1845年）の重修版です。また、宮内庁書陵部には、正統10年（1445年）に刊行された正統道蔵の5305巻のうち、1190巻が欠落している4115巻が所蔵されています。

目録と索引

道蔵に関する目録は多様に存在しますが、そのいくつかを紹介します。

• - 佐藤忠淳編『道蔵経目録』（1894年）
• - 『道蔵経目録』『続道蔵経目録』
• - 『道蔵子目引得』（1942年）
• - 『道蔵目録詳註』及び『大明続道蔵経目録』（1975年）
• - 『正統道蔵目録索引』（1977年）
• - 『道蔵目録詳註』（1985年）

これらの目録や索引は、道蔵の研究や学習において重要な役割を果たしています。

参考文献

本記事に関する参考文献として以下の書籍があります。

• - 陳国符著『道蔵源流攷』（1949年）
• - 吉岡義豊著『道教経典史論』（1955年）
• - 窪徳忠「涵芬楼影印本道蔵校勘記」（1956年）
• - 大淵忍爾著『道教史の研究』（1964年）

関連項目

道蔵は道教の教えを深く理解するための基盤であり、三洞説や雲笈七籤との関連も深いです。

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