武九線

武九線：歴史と変遷をたどる鉄路

武九線は、湖北省武漢市から江西省九江市を結ぶ鉄道路線であり、その歴史は19世紀末にまで遡ります。この路線は、複数の区間が異なる時期に建設され、その過程で何度も路線の向きが変更されるなど、複雑な経緯をたどってきました。

大冶鉄道の誕生と戦争による破壊

武九線のルーツの一つは、1890年に清の政治家・張之洞が建設を決定した大冶鉄道です。これは、大冶で採掘された鉄鉱石を漢陽製鉄所に輸送するために敷設されました。全長30kmの鉄道は1892年に開通しましたが、1938年には日本軍の侵攻により、国民政府によって徹底的に破壊されました。その後、日本軍によって復旧されましたが、この破壊と復旧の歴史は、当時の中国の混乱した状況を物語っています。

粤漢線の建設と長江の障壁

1900年代初頭には、粤漢線の建設が開始され、武漢市内にも駅が設置されました。しかし、資金不足により建設は一時中断。その後、海外からの借款によって建設が再開され、1918年には武昌 - 長沙間の365kmが開通しました。しかし、当時、京漢線との乗り換えには長江を渡る必要があり、連絡船が利用されていました。1957年に武漢長江大橋が完成するまで、この不便な状況が続きました。

武大線と大沙線の統合

1950年代から1960年代にかけて、武昌北駅から大冶鉄鉱までの区間を接続する武大線が建設されました。さらに、1980年代には大冶駅から沙河街駅（現・廬山駅）を結ぶ大沙線が開通しました。1990年には、これら二つの路線が統合され、現在の武九線となりました。

高速化と電化

2003年には、第六次高速化計画に伴い、武九線の複線化と輸送能力向上が図られました。また、2008年からは電化工事も開始され、2010年に完了。これにより、武漢 - 南昌間の所要時間が大幅に短縮されました。2017年には、武九旅客専用線が開通し、旅客列車はそちらを走行するようになりました。

武昌北環線の廃止

武九線の一部であった武昌北環線は、1918年に開通した古い路線でしたが、2017年に廃止されました。この路線は、武昌駅周辺の再開発を妨げていたため、長年の議論の末、その役目を終えました。

武九線の現在

武九線は、中国の経済発展と都市化を支えてきた重要な鉄道路線です。その歴史は、中国の近代史そのものであり、様々な出来事や人々の努力が刻まれています。現在では、貨物輸送と旅客輸送の両方で重要な役割を果たしており、今後も中国の鉄道網において重要な路線であり続けるでしょう。

まとめ

武九線は、その誕生から現在に至るまで、様々な変化を経験してきました。清朝末期の鉱山開発、戦争による破壊、そして復興、高度経済成長期の鉄道網の拡大と、それぞれの時代を映し出す鏡のような存在です。その複雑な歴史を紐解くことで、中国の鉄道史だけでなく、社会全体の変遷を理解することができます。

武九線は、過去の出来事を記憶し、未来へと繋がる鉄道として、これからも中国の発展に貢献していくことでしょう。

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