武州銀行

武州銀行の歴史

武州銀行（ぶしゅうぎんこう）は、埼玉県北足立郡浦和町（現在の浦和市）に1918年11月に設立された銀行です。この銀行の設立は、当時の埼玉県内に存在した106の小規模銀行を統合し、県内の金融を調整することを目的としていました。

設立の背景

埼玉県には多くの銀行が存在していましたが、それぞれが独立して運営されており、金融に関する調整がほとんど行われていませんでした。これを受けて、県知事の岡田忠彦や県会議員の飯野喜四郎などの提案により、強力な県全体をカバーする銀行を設立することが決定されました。

銀行の設立

1918年8月に行われた発起人会では、行名を「武州銀行」とし、資本金を500万円とすることが決議され、同年11月に創立総会が開催されました。そして1919年1月から営業を開始します。初代頭取には、渋沢栄一の甥の尾高次郎が就任し、後に大川平三郎も頭取を務めました。尾高次郎は家庭の事情で大川に息子を養子に出しており、聡明な家系が引き継がれていたとされています。

合併と拡大

設立以降、武州銀行は急速に成長を遂げ、数度の合併を経験します。1920年6月には粕壁銀行を、1921年10月に熊谷銀行を、同年12月に川越商業銀行や本庄商業銀行を合併し、さらには1922年5月に黒須銀行、1926年4月に大宮商業銀行、1928年12月には入間銀行を分割して買収しました。また、1937年6月には加須銀行も取り込み、県内での金融力を強化していきました。

戦時統制と消滅

しかしながら、1943年7月に戦時下の金融統制のもと、武州銀行は川越市に本店を持つ八十五銀行、忍町（現在の行田市）の忍商業銀行、飯能町（現・飯能市）の飯能銀行と合併し、新たに埼玉銀行が設立されることになります。この合併により、武州銀行は消滅し、埼玉銀行として新しい時代が訪れます。

現在の状況と記念行事

武州銀行の100周年を記念して、2018年11月には浦和中央支店とさいたま営業部で創立100周年記念式典が開催され、約200名の関係者が出席しました。地域社会への貢献が歴史的に続いている中、銀行としての役割も引き継がれています。

年表

• - 1918年11月6日: 武州銀行を設立。
• - 1919年1月: 営業開始。
• - 1920年6月: 粕壁銀行を合併。
• - 1921年10月: 熊谷銀行を合併。
• - 1921年12月: 川越商業銀行及び本庄商業銀行を合併。
• - 1922年5月: 黒須銀行を合併。
• - 1926年4月: 大宮商業銀行を合併。
• - 1928年12月: 入間銀行を飯能銀行と分割買収。
• - 1937年6月: 加須銀行を合併。
• - 1943年7月: 武州銀行、忍商業銀行、第八十五銀行、飯能銀行が合併し、埼玉銀行が設立される。

埼玉県の金融発展に寄与した武州銀行の歴史は、地域経済の発展とともに重要な役割を果たし続けてきました。

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