武田耕雲斎

武田耕雲斎について

武田耕雲斎（たけだ こううんさい）は、享和3年（1803年）に生まれ、元治2年2月4日（1865年3月1日）に亡くなった幕末の武士であり、水戸藩の天狗党の首領としても知られています。彼の本名は正生（まさなり）で、通称は彦九郎、号は如雲（じょうん）でした。位階は贈正四位で、官位は伊賀守を有し、松原神社（敦賀市）の祭神としても祀られています。また、靖国神社にも合祀されています。

家族と家系

武田耕雲斎の家系は、清和源氏の一つである河内源氏の傍系、跡部氏に連なっています。この跡部氏は、室町時代後期に甲斐守護の武田氏を補佐したが、後に滅ぼされました。その後、戦国時代には甲斐武田氏の家臣として存続した一族も存在し、武田耕雲斎の祖先とされる跡部勝資は『甲陽軍鑑』において「奸臣」として言及されています。これを受けて、耕雲斎は武田信玄の末裔を名乗るために、武田姓に改姓したとされています。

経歴の歩み

耕雲斎は水戸藩士・跡部正続の子供として生まれ、跡部正房の養嗣子となりました。文化14年（1817年）には家督を継ぎ、武田氏に改姓した後、戸田忠太夫や藤田東湖と共に水戸の三田と呼ばれる存在になります。彼は徳川斉昭の藩主擁立に尽力して、天保11年（1840年）には参政に就任し、水戸藩の藩政に参加しましたが、弘化元年（1844年）には藩主が隠居を命じられた際に、彼も連座して謹慎処分となりました。

再び藩政に参与したのは嘉永2年（1849年）で、斉昭の尊皇攘夷運動を支持し続け、安政3年（1856年）には執政に任じられました。しかし、万延元年（1860年）に藩主の斉昭が没すると、水戸藩は混乱に陥り、耕雲斎は各派閥の調整を試みたものの、状況は改善されませんでした。

元治元年（1864年）には、藤田小四郎が天狗党を結成して反幕府の行動に出ました。耕雲斎は彼を諌めるも、小四郎の強い要請により、ついには天狗党の首領に就任しました。彼らの目的は、徳川慶喜を新たな水戸藩の主にすることでしたが、途中で幕府軍の追撃を受け、降伏することとなります。簡単な取調べの後、彼と小四郎は共に斬首され、享年63歳でした。

晩年と家族

耕雲斎は尊皇攘夷派でありながら、過激な行動には慎重な人物でした。天狗党の首領になった際には、すでに自らの死を覚悟していたと伝えられています。彼の墓所は水戸市の妙雲寺にあります。また、斬首された天狗党員353名とともに埋葬された墳墓は、福井県敦賀市の松島町に位置し、「武田耕雲斎等墓」として国の史跡に指定されています。

耕雲斎には家族が多く、特に妻の武田延子や長男の武田彦衛門が知られています。彦衛門もまた水戸藩士で、様々な戦闘で奮闘しましたが、最終的には越前国敦賀で斬首されました。その他の子女や孫も運命を共にし、多くが水戸で斬首されています。彼の家族は、時代の変革の中で悲劇的な運命を辿りました。

関連作品

耕雲斎を題材にした作品もあり、1971年のテレビドラマ『天皇の世紀』や、1998年のNHK大河ドラマ『徳川慶喜』、2021年の『青天を衝け』などがあります。これらの作品を通じて、彼の存在は現代においても語り継がれています。

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