武田観柳斎

武田観柳斎の生涯と業績

武田観柳斎（たけだ かんりゅうさい）は、1834年に生まれ、1867年に亡くなった新選組隊士であり、五番隊組長として知られています。彼の本名は福田廣（ふくだ ひろし）で、諱は徳裕（のりひろ）です。武田は、新選組における軍事調練において重要な役割を果たし、その生涯は幕末の動乱の中で彩られています。

来歴

武田は母里藩で生まれ、医学生として教育を受けたと言われています。若い頃から藤本鉄石と関係を持ち、投獄されたこともあるが、その後脱獄し、江戸へ向かいました。そこで甲州流軍学を師事した後、友人である真田官吾と共に軍学を学びました。この経験から、彼は「武田観柳斎」を名乗るようになりました。

武田は文久3年（1863年）後半に新選組に参加し、最初は隊士として近藤勇に重用されました。特にその文武両道においての才能は評価され、他の隊士に比べて早く昇進しました。元治元年（1864年）には副長助勤に就任し、五番組組長や文学師範、軍事方などの地位を得て、甲州流軍学を生かした調練を担当しました。

隊内での立ち位置

彼の性格は部内での評判が分かれており、近藤や土方に媚びる態度が目立ったため、永倉新八からは敵視されることもありました。また、池田屋事件での役割や、禁門の変においても活躍し、長州藩士を捕らえたり、褒賞金を受け取ったという実績もあります。新選組の内外での彼の行動はしばしば議論の的となりました。

結果としての脱藩

慶応元年に武田は一部の隊士と共に江戸に帰り、尊皇攘夷論者の伊東甲子太郎との関係を深めようとしました。しかし、近藤から拒絶され、少しずつ彼の立場は難しくなりました。特に幕府がフランス式兵制を採用した後、武田の軍学が時代遅れとなる中、彼の地位は危うくなりました。

慶応2年（1866年）頃には、倒幕思想に傾倒し、ついには新選組を脱藩することを決断しました。しかし、京都での倒幕活動が露見し、1867年6月22日に暗殺されるという悲劇的な運命を辿ります。

エピソード

観柳斎の人物像は、軍事的な才能の一方で、組織内での人間関係において複雑な一面も見せました。例えば、部下に対して威張り散らし、草鞋が緩んでいる部下を感情的に責めたという逸話があります。また、その美男子としての評判から、若い隊士に対して不適切な接触を試みたとも言われ、隊内でのトラブルの原因になったこともありました。

結論

武田観柳斎は、若き日の新選組において軍事面での貢献を果たした重要な人物でしたが、性格や人間関係に問題を抱えていたことも事実です。その生涯は、幕末という激動の時代における新選組の内情を物語っています。

もう一度検索