武者アレスタ

武者アレスタ

『武者アレスタ』は、1990年12月21日に東亜プランよりメガドライブ向けにリリースされた、縦スクロール形式のシューティングゲームです。開発はコンパイルが担当し、同社が展開する人気シリーズ『アレスタ』の第3弾にあたります。日本国外では、『M.U.S.H.A.』のタイトルで発売されました。

世界観とストーリー

物語は、架空の暦である「天暦91年」の未来世界を舞台としています。人類は宇宙に進出し、スペースコロニーを建造する時代を迎えていましたが、月の裏側に位置するコロニー群「リトル・ジャパン」の環境制御システム、そしてその中枢たる「大亜51」が突如暴走を開始します。暴走した「大亜51」は他のコロニー群を襲撃し、その残骸を取り込みながら自己強化を図ります。原因究明に奔走する人類を尻目に、「大亜51」は強力な機動兵器群を用いて地球への攻撃を開始しました。

この危機に対し、宇宙空間での作業用スーツを起源とする最新型アームドアーマー「M.U.S.H.A」（Metalic Uniframe Super Hybrid Armor）を運用する精鋭部隊、通称「MUSHA部隊」が出撃を命じられます。しかし、敵の激しい迎撃によって、主人公であるエリノアを除く4機が戦闘不能となってしまいます。エリノアは単身、敵の前線基地「怒駆絽」に侵入し、内部で待ち受ける維乃上を撃破。その後も、新兵器製造基地で過武器Ζを破壊したり、日本上空で壮絶な空中戦の末に由騎悪mk5を撃墜したりと、次々と敵の脅威を排除していきます。

日本上空での戦闘を終え帰還しようとした矢先、エリノアは鬱之宮率いる敵補給部隊と遭遇し、これを撃破。さらに敵戦艦「霧羅鮫」を捕捉し、追撃をかけます。ついに「大亜51」を追い詰めて撃破したエリノアでしたが、その目の前の空間が歪み、未知の空間へと転移してしまいます。そこで彼女が対峙したのは、「胎児玉 亜矢乃麹」という異形の存在でした。満身創痍となりながらも亜矢乃麹を打ち倒したエリノアに、シャトルとのドッキング命令が下ります。最後の力を振り絞り、生き延びていた「大亜51」の妨害を退け、無事にシャトルとドッキングを果たし、地球へと帰還するのでした。

本作最大の特徴は、遠未来を舞台としながらも、鎧武者や瓦屋根のような純和風の意匠を取り入れた独特な世界観デザインにあります。

ゲームシステム

操作は方向ボタンで自機の移動を行い、Cボタンでメインウェポンである通常弾を発射します。特殊兵器（サブウェポン）を装備している場合は、Bボタンで発動。Aボタンでは、自機に随伴するオプションの隊形を変更できます。ポーズ中にスタートボタンを押すと、方向ボタンで自機の移動スピードを調整することも可能です。標準的なメガドライブ用コントローラーに加え、電波新聞社製のアナログ操作対応ジョイパッドにも対応していました。

ゲームは全7ラウンドで構成されています。プレイ開始前には、「EASY」「NORMAL」「HARD」の3段階から難易度を選択可能で、難易度によってクリア時のエンディンググラフィックの枚数が異なります（HARDが最も多い）。

武器システムは、初期装備の通常弾（SEAL CLUSTER BEAM）、アイテムで取得する特殊兵器（SUB WEAPON UNIT）、そしてオプション（OFFENSIVE OPTION）の3種類に大別されます。

通常弾（SEAL CLUSTER BEAM）: パワーチップを取得することで、弾が単装から最大4連装まで横に広がり、連射性能も向上します。ただし、弾数が増えるほど一発あたりの威力は低下する特性を持ちます。
特殊兵器（SUB WEAPON UNIT）: BLAZING BEAM（貫通ビーム）、VANISHING BUSTER（広範囲爆弾）、DEFENSIVE DETONATOR（バリア）の3種類があり、同じ種類を取り続けることでレベル1から最大レベル4までパワーアップします。特殊兵器装備中に敵弾に被弾するか障害物に接触しても、即ミスにはならず装備が失われるだけで、パワーアップレベルは維持されます（他の武器に変更しても同様）。ただし、最大レベル4の状態で被弾または接触した場合は、レベルが1段階下がってレベル3になります。
* オプション（OFFENSIVE OPTION）: パワーチップを3つ集めるごとに1機装備され、最大2機まで随伴させることが可能です。上限を超えて取得したオプションはストックされ、現在装備中のオプションが破壊された場合に再装備されます。自機がミスになってもストック数は減りません。オプションは、自機の動きや弾の発射方向により、6種類の隊形を使い分けることができます。

開発と移植

本作はコンパイルによって開発されました。プロデューサーは『アレスタシリーズ』を手掛けた仁井谷正充氏、プログラマーは外山雄一氏と弓恭羅氏、音楽は迫田敏明氏が担当しています。当初は『重殻装甲アレスタ』というタイトルで、エーワンからの発売が予定されていましたが、後に発売元が東亜プランとなり、タイトルも変更された経緯があります。

後年、本作は複数のプラットフォームに移植されています。2008年にはWii向けにバーチャルコンソールで配信が行われました（Wii版では難易度Hardクリア時のエンディングビジュアルの一部にオリジナルとの差異がありました）。また、メガドライブの復刻系ハードにも収録されています。

評価

発売当時のゲーム誌『ファミコン通信』のクロスレビューでは40点満点中27点、ゲーム誌『メガドライブFAN』の読者投票企画「ゲーム通信簿」では30点満点中24.74点を得ています。

後年のゲーム書籍『メガドライブ大全』（2004年、太田出版）では、パワーアップしてもアイテムが無駄にならない点や、被弾しても即ミスになりにくい自機などについて「シューティングの根っことでも言うべき部分を大切にしたもの」と評価されました。また、「大量破壊による快感とアドリブ主体のバランス」によって成立しているとし、「『シンプル・イズ・ベスト』の味わい」を持つ作品として肯定的に評されています。

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