アレスタ

アレスタシリーズ

『アレスタ』は、1988年にセガ・マークIII向けに発売された、コンパイル開発のシューティングゲームです。その後のシリーズ展開は多岐にわたり、機能追加版や続編など、1993年までに8タイトル、海外および関連作品4タイトルがリリースされました。

開発元のコンパイルは2004年に倒産しましたが、アレスタシリーズの知的財産権はアイキ、D4エンタープライズを経て、現在はエムツーが保有しています。2020年には新作が発売されるなど、シリーズは今もなお続いています。

制作の経緯

『アレスタ』は、コンパイルが開発しポニーキャニオンが発売した『ザナック』の系統作として誕生しました。『ザナック』の制作終了後、コンパイルに再びシューティングゲーム制作の意欲が湧いたところに、セガからシューティングゲーム制作の依頼が舞い込んだことがきっかけです。

版権の都合上、『ザナック』の名前を自社ブランドに冠することができなかったため、異なるタイトルとなりました。他社から発売されたシリーズ作も多いですが、コンパイルが倒産するまでは、タイトル画面や著作権表示に「コンパイル」の名がクレジットされていました。ただし、『アレスタコレクション』以降は、ゲーム本編映像以外は「M2 Co., Ltd.」と表記されています。

「アレスタ」という名称は、コンパイル社内の「TAFマイコンクラブ」会報誌『たふなこ』で連載されていた、本作のプログラムにも携わった広野隆行（じぇみに広野）の漫画作品『アレスタ』から、プロデューサーの仁井谷正充が採用しました。漫画とゲームの内容に関連性はありませんが、漫画の題名は避雷器を意味する"arrester"の語感とヒロインの役割から付けられています。"arrester"をそのまま使えないため、"仕掛け"の意味を込めて"ALESTE"という造語が生まれました。仁井谷は当初、読みやすさを懸念しましたが、ユーザーが自然に「アレスタ」と呼ぶようになったことで前向きな気持ちになったそうです。海外では「PowerStrike」という名称が用いられ、これはアメリカのユーザーに受け入れやすいようにセガ・オブ・アメリカが命名しました。

なお、ディスクステーションは、本シリーズのために生まれた企画であると仁井谷は述懐しています。

世界観

シリーズ作品は、『戦刃アレスタ』を除き、全て「アレスタ」と名付けられた飛行機体が主役ですが、世界観は複数に分かれています。

基軸となる世界観

MSX版の『アレスタ』と『アレスタ2』が基軸となり、そのパラレルワールドとして和風テイストの『アレスタ外伝』、『武者アレスタ』、『電忍アレスタ』が存在します。時間軸で並べると、『電忍』→『外伝』→『武者』の順となります。

マークIII版の『アレスタ』は、MSX版のベースとなった作品ですが、舞台が惑星リマールであり、登場人物設定も異なるため、完全に別の作品として位置づけられています。

女性パイロット、エリノア・ワイゼン

『アレスタ2』、『武者アレスタ』、『GGアレスタ』の主人公は、いずれも女性パイロットのエリノア・ワイゼンですが、それぞれパラレルワールドに存在する別人という設定です。『アレスタ2』では、前作の主人公レイ・ワイゼンとその恋人ユリィ・レノックスの娘として登場します。なお、初期にはミサト・ワイゼンという名前が付けられていました。

GGアレスタシリーズ

『GGアレスタ』と『GGアレスタII』は独自の系統として発展し、『GGアレスタ3』との関係は現在不明です。『GGアレスタ』では、祖父セフト・ワイゼンの開発したGGアレスタを駆って戦います。続編の『GGアレスタ2』の主人公アリス・ファイファー・ワイゼンは、エリノアの従姉妹という設定です。

武者アレスタ

『武者アレスタ』でのエリノアは、最新ロボット兵器（アームドアーマー）アレスタのパイロットとして登場し、部隊が壊滅する中で唯一無傷だったことから、単独で作戦を遂行します。

スーパーアレスタ

『スーパーアレスタ』は、他の作品との繋がりを持たない独立した存在です。

シリーズ作品

アレスタ (セガ・マークIII)

1988年2月29日発売、5,000円
全6ステージ構成。
海外では『POWER STRIKE』のタイトルで発売。

アレスタ (MSX2)

1988年7月23日発売、6,800円
セガ・マークIII版に2ステージを追加した全8ステージ構成。
オープニングなどのビジュアルシーンが特徴。
2008年5月27日よりWiiのバーチャルコンソールで配信。
2008年12月よりApp StoreでiPhone/iPod touch向けに配信。

アレスタ外伝 (MSX2)

1989年9月発売、3,880円
『ディスクステーションSpecial 秋号』に収録。
和風の世界観が特徴で、自機は強化服を装着した人間。

アレスタ2 (MSX2)

1989年11月発売、6,800円
処理落ちの少なさが特徴。
ビジュアルシーンが強化。

武者アレスタ (メガドライブ)

1990年12月21日発売、6,800円
和風の世界観で、自機はロボットのアームドアーマー。
海外版タイトルは『MUSHA』。

GGアレスタ (ゲームギア)

1991年12月29日発売、4,800円
ゲームギア用の完全新作。
高速スクロールやテンポの良い展開が特徴。

スーパーアレスタ (スーパーファミコン)

1992年4月28日発売、8,700円
拡大縮小回転を取り入れた作品。
漫画版が存在する。

電忍アレスタ (メガCD)

1992年11月20日発売、6,800円
戦国時代をモチーフにした和風シューティング。
豪華声優陣を起用。
海外版は『ROBO ALESTE』。

GGアレスタII (ゲームギア)

1993年10月1日発売、3,800円
前作よりもエフェクトが多い。
ボーナスステージが擬似3D。

アレスタコレクション (PS4/Switch)

2020年12月24日発売、Paは6,800円、DLは4,500円
セガ・マークIII版、GGアレスタ1・2、マスターシステム版『POWER STRIKE II』と、新作『GGアレスタ3』を収録。
限定版にはゲームギアミクロ ホワイトが同梱。

戦刃アレスタ (AC)

2021年7月16日稼働開始
シリーズ初のアーケードゲーム。
縦長の画面比率が特徴。

関連作品

海外作品

『アレスタ』の海外マスターシステム版である『POWER STRIKE』には、『POWER STRIKE II』という続編があります。

精霊戦士スプリガン

ナグザットからPCエンジンCD-ROM2用ソフトとして発売された作品で、もともとは『精霊戦士アレスタ』という題名で企画されていました。

スプリガン mark2

PCエンジンSUPER CD-ROM2用に発売された作品で、企画初期には『武者アレスタ』と同一の世界観を持つ続編とされていました。

未発売作品

電忍アレスタ2

くノ一が主人公で、前作から40年後の江戸時代を舞台とした作品が企画されましたが、開発中止となりました。

アレスタX

プレイステーション互換基板を用いたアーケード版も企画されましたが、実現しませんでした。

アレスタブランチ

2018年に開発中であることが発表された作品で、2021年以降にリリースが延期されています。

脚注

注釈

出典

参考文献

『ALESTE History』M2、2020年12月24日。
『BEEP! メガドライブ』第9巻第2号、ソフトバンク、1993年2月1日。

外部リンク

アレスタ コレクション (M2 Shot Triggers)ソフト情報ページ
戦刃アレスタ(戦刃ALESTE/M2 Shot Triggers) ソフト情報ページ

もう一度検索