武蔵坊弁慶 (テレビドラマ)

『武蔵坊弁慶』の概要

『武蔵坊弁慶』（むさしぼうべんけい）は、1986年から1987年にかけてNHK総合テレビで放送された連続時代劇で、全32話から成ります。主演には中村吉右衛門を迎え、原作は富田常雄の作品です。この作品は、当時の「大河ドラマ」枠の中で特に大きな位置づけを持ちながら放送されました。

放送の背景

『武蔵坊弁慶』は、「新大型時代劇」シリーズの第3作として放送され、同シリーズには『宮本武蔵』や『真田太平記』などがありました。この時期には現代劇が放送されていたため、時代劇の魅力を再確認させる内容となっていました。約9か月間の放送後、続く「大河ドラマ」『独眼竜政宗』へのシフトが決まるなど、時代の大きな潮流を反映していました。

物語の概要

物語は、武蔵坊弁慶が10代後半で比叡山から追放され、書写山円教寺に移るところから始まり、その生涯が描かれます。弁慶は、荒法師でありながらも知恵と議論に長けた存在として登場し、多面的なキャラクターが視聴者に魅力を放ちました。

中村吉右衛門の壮大な演技

中村吉右衛門は、長年にわたり歌舞伎で弁慶を演じており、『勧進帳』や『義経千本桜』などでの実績があります。彼の演技は特に注目され、迫力のある腰越状の拝読シーンや安宅の関での朗読が高く評価されました。本作が連続テレビドラマでの彼の初主演となり、後に『鬼平犯科帳』でも大きな成功を収めることになります。

撮影の裏側

撮影中には事故も起きており、第3話での義経との決闘シーンでは、川野太郎が負傷するというトラブルがありました。この事故により、彼の登場シーンには様々な工夫が凝らされ、代役が背中を向けて演じた場面もありました。

登場キャラクター

弁慶のキャラクターは、その信頼と忠誠心で義経を支える姿が強調されています。義経は源氏の御曹司で、弁慶の筆頭家人としての役割を果たし、家族の一面や、人間らしい感情も丁寧に描写されています。義経との友情や苦難を共にする様子は、物語の重要な要素となっており、視聴者に深い感動を与えています。

また、脇役も非常に魅力的で、義経の家人たちとの絆や、彼らが抱えるそれぞれのドラマが作品全体を盛り上げています。特に、義経の身近にいる伊勢三郎や常陸坊海尊、佐藤兄弟といったキャラクターたちが印象深く、物語に様々な色合いを添えています。

伝えきれない魅力

『武蔵坊弁慶』は、視聴者に深い印象を残す作品となり、現在でも高く評価されています。音楽や映像美、惜しまれながらも強烈な物語を紡ぎ出し、戦いや友情、愛情に加え、家族の絆といったテーマが普遍的な魅力を持っています。時代劇としての伝統と、新しい視点を取り入れた物語展開は、NHKが誇る優れた作品の一つとして語り継がれています。

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