武見龍磨

武見龍磨：俳優・演出家としての多様な顔

武見龍磨（たけみ りょうま）は、1955年京都生まれの俳優、演出家である。本名は武田良史。大映女優として活躍した小柳圭子を母に持つ。

京都の高校卒業後、京都造形芸術学院グラフィックデザイン科に進学。卒業後は広告代理店に勤務し、グラフィックデザイナーとしてキャリアを積む。しかし、1977年に広告業界を離れ、俳優を目指して上京。劇団青俳付属俳優養成所で基礎を学び、その後、現代制作舎、鈍牛倶楽部など複数の俳優事務所に所属しながら、舞台、テレビドラマ、映画と幅広い分野で活躍する。

1980年代から1990年代にかけては、小劇場公演からテレビドラマ、映画、Vシネマ、さらにはCMナレーションまで、精力的に活動。特に1990年から1995年にかけて主演を務めたFMラジオドラマ『マイ・ロンリー・ハートランド』では、毎回4～5人の役を1人で演じるという経験を積み、俳優としての表現力を大きく磨いた。

2002年には劇団四季に入団。ミュージカルやストレートプレイに出演する。歌やダンスが不要な役柄が多かったものの、『Wicked』ではソロナンバーのある役を射止め、「死ぬ気で頑張った」と語るほど熱意を注いだ。6年間で9作品に出演した後、2008年に退団した。

劇団四季退団後の2009年4月、演劇企画室「劇論◎三者会談」を設立。俳優活動に加え、自ら脚本・演出を手掛ける劇作家の顔も持つようになる。劇団形式を取らず、公演ごとに異なる俳優を迎え入れ、歴史上の出来事や戦争などを題材にしたオリジナル作品を創作・発表している。

代表作として、2010年に初演された『ビンタン・ブサール』（インドネシア語で「大きな星」の意）がある。朝鮮人BC級戦犯をテーマにしたこの作品は、15人の登場人物をわずか4人の俳優で演じ分けるという、俳優の技量を極限まで問う演出が特徴だ。武見自身も出演しており、ラジオドラマで培った経験が活かされたと言えるだろう。その後、恵泉女学園大学からの依頼で再演され、全国公演バージョンとなる朗読劇も制作されている。

演出にあたり、内海愛子著『キムはなぜ裁かれたのか』やNHK特集『BC級戦犯 獄窓からの声』から着想を得ている。演出協力は盟友である大谷亮介が務めている。

演劇活動の一環として、インドネシア、ベトナム、カンボジアなどへも積極的に取材に行き、現地での経験を基にしたセミナーを開催するなど、活動は多岐にわたる。

出演歴

武見龍磨の出演歴は非常に豊富で、数多くの舞台作品、テレビドラマ、映画、Vシネマなどに出演している。主な出演作品としては、

舞台：『亡者たちの宴』(現代制作舎)、『影の少女』(劇団魔笛)、『愛は頭にくる』(劇団東京壱組)など多数
テレビドラマ：『噂の刑事トミーとマツ』、『特捜最前線』、『太陽にほえろ!』、『水戸黄門』、『暴れん坊将軍』シリーズなど多数
映画：『あんねの日記』、『ノストラダムス戦慄の啓示』、『手紙』など
Vシネマ：『不可思議物語 やさしくって少しばか』、『実録・史上最大の抗争 義絶状』シリーズなど

が挙げられる。これらの作品を通じて、彼は確かな演技力と表現力を示してきた。劇団四季での経験も彼の俳優としての幅を広げることに大きく貢献したことは間違いない。

近年は、演劇企画室「劇論◎三者会談」の主宰として、新たな創作活動に精力的に取り組んでいる。歴史と向き合い、独自の視点で社会問題を提起する彼の舞台作品は、今後も多くの観客を魅了し続けるだろう。

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