歩く死骸
映画『歩く死骸』の詳細解説
『歩く死骸』（原題: The Walking Dead）は、1936年に公開されたアメリカのホラー映画です。監督はマイケル・カーティス、主演はボリス・カーロフが務め、リカルド・コルテス、エドマンド・グウェン、マーゲリット・チャーチル、バートン・マクレーンといった実力派俳優が脇を固めています。この作品は、冤罪によって処刑されたピアニストが、科学の力で蘇生し、復讐を果たすという独特なストーリー展開が特徴です。
あらすじ
物語は、弁護士ノーランたちが、自分たちに不利な判決を下すショー判事を殺害する計画を企てる場面から始まります。彼らは、殺し屋のトリガーらを使って犯行を実行しますが、自身たちへの疑いを避けるため、過去にショー判事によって有罪判決を受けたピアニスト、ジョン・エルマンを罠にかけ、罪をなすりつけようとします。
エルマンは逮捕され、ノーランが弁護士として名乗り出るものの、これはあくまで有罪にするための策略でした。エルマンは死刑判決を受け、刑が執行されます。しかし、トリガーの犯行は、死体蘇生を研究するボーマン博士の助手であるジミーとナンシーによって目撃されていました。二人は脅迫され、真実を語ることができませんでしたが、エルマンの処刑直前に良心の呵責から検事に証言しようとします。しかし、ノーランの妨害により、エルマンは処刑されてしまいます。
その後、ボーマン博士はエルマンの無実を知り、彼の蘇生手術を引き受けます。蘇生したエルマンは、事件の記憶を失っていたものの、臨死体験で得た不思議な超能力により、真犯人を見抜くことができるようになります。そして、自分を死に追いやった5人に対して、復讐を開始します。エルマンが直接手を下すことなく、犯人たちは次々と自滅していくという展開が、物語の独特な魅力を際立たせています。
キャスト
- - ジョン・エルマン: ボリス・カーロフ
- - ノーラン: リカルド・コルテス
- - エヴァン・ボーモン博士: エドマンド・グウェン
- - ナンシー: マーゲリット・チャーチル
- - ジミー: ウォーレン・ハル
- - ローダー: バートン・マクレーン
- - ワーナー検事: ヘンリー・オニール
- - ロジャー・ショー判事: ジョー・キング
- - 刑務所長: アディスン・リチャーズ
- - ブラックストン: ポール・ハーヴェイ
- - メリット: ロバート・ストレンジ
- - トリガー・スミス: ジョー・ソーヤー
- - ベッチャ: エディ・エイカフ
- - スティーヴン・マーティン: ケネス・ハーラン
- - ローダーの執事: ミキ・モリタ
制作背景
本作のエグゼクティブプロデューサーであるハル・B・ウォリスは、1935年8月に6ページほどのあらすじをルー・エデルマンに送りました。原案はエワート・アダムソンとジョセフ・フィールズによって書かれ、11月には草稿がマイケル・カーティスに送られました。撮影開始直前、主演のボリス・カーロフは、自身の役柄が過去に演じた『フランケンシュタイン』と類似している点や、エルマンの敏捷性に対する懸念を指摘しました。これに対応するため、追加で3人のライターが雇われました。
エルマンとフランケンシュタインの怪物との類似性は、発語のほか、蘇生シーンでの音楽、脈動する機器、傾いたカメラアングル、「彼は生きている」という台詞などに見られます。撮影は1935年11月から12月にかけて、カリフォルニア州グリフィス・パークとワーナー・ブラザーズのスタジオで行われました。
アーヴィング・ラパーもスタッフとして参加しており、物語については批判的でしたが、カーティスとの仕事は楽しかったと述べています。
公開と反応
映画は1936年2月29日に公開されました。『バラエティ』誌は、ショック映画を好む観客には満足できるだろうと評しています。また、監督と助演者たちは、脚本の非現実的な科学要素に信憑性を持たせようと努力したが、緊張感を途切れさせないように話を進めることしかできなかったと指摘しました。さらに、ボリス・カーロフに対しては、過去の演技を再演しなければならなかったことに同情的なコメントを寄せています。
参考文献
- - Mank, Gregory William (2001). Hollywood Cauldron: Thirteen Horror Films from the Genre's Golden Age. McFarland. ISBN 0-7864-1112-0
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