歯科医官

歯科医官とは

歯科医官とは、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に所属する歯科医師の資格を持つ幹部自衛官のことです。陸上自衛隊には約150名、海上自衛隊には約50名、航空自衛隊には約40名の歯科医官が所属しており、自衛隊員の歯科医療を支える重要な役割を担っています。

採用

歯科医官の採用は、防衛医科大学校の卒業生ではなく、一般大学の歯学部出身者を対象に行われます。採用方法は、歯科幹部候補生としての採用と、即戦力となる歯科幹部採用の2種類があります。

歯科幹部候補生

新卒者だけでなく、30歳未満の既卒者も対象となります。採用後は、幹部候補生学校で自衛官としての基礎教育を受けます。

歯科幹部

認定医や専門医の資格を持つ者が対象となることが多く、即戦力として期待されています。

階級と昇任

歯科幹部候補生として採用された場合、曹長の階級が指定されます。幹部候補生学校卒業時に2尉に任官し、免許取得後4年経過している場合は1尉に任官します。

歯科幹部採用の場合は、実務経験年数に応じて階級が決定されます。通常は2尉から始まり、2佐まではほぼ例外なく昇任しますが、1佐以上の昇任は狭き門です。

陸上自衛隊では、歯科医官の7割以上が2佐で占められており、将官のポストは自衛隊中央病院第一歯科部長（陸将補）のみです。

海上自衛隊では、過去に横須賀病院歯科診療部長が退官時に特別昇任で海将補になった事例があります。

待遇

歯科医官の待遇は、基本的には医官と同等で、俸給に加えて初任給調整手当が支給されます。初任給調整手当は勤務地によって異なり、僻地の方が高額になります。また、ボーナス（勤勉手当）は年2回、俸給の約4.2か月分支給される他、住居手当や通勤手当も支給されます。

教育体系

幹部候補生

歯科幹部候補生は、他の幹部候補生と同様に、陸海空の幹部候補生学校で6週間の基礎教育を受けます。

歯科医官初任実務研修

2年間の研修で、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院、自衛隊入間病院などの研修施設で臨床研修を行います。また、防衛医科大学校病院や在日米軍医療機関での研修も実施されます。海上自衛隊では、初任実務研修後に米海軍横須賀病院での研修も行われます。

通修

専門分野の研修を目的とした週1日の通修が認められています。通修先は原則として大学や国公立医療機関に限定されます。

部隊配属後の教育

部隊配属後も、衛生学校での教育や、幹部学校の課程など、様々な教育機会が提供されています。また、社会人大学院で博士号を取得したり、部外大学研修で専門医資格を取得したりすることも可能です。

職務内容

歯科医官の主な職務は、自衛隊病院や医務室での歯科診療と健康管理です。自衛隊員やその家族を対象に、保険診療の範囲内で歯科治療を行います。また、災害派遣時には医療活動に従事し、部隊の衛生管理にも貢献します。

歯科医官は、派遣中の歯科疾患への対処だけでなく、平素からの健康管理を通じて、派遣中の疾患発症を予防することも重要な役割です。

まとめ

歯科医官は、自衛隊の医療を支える重要な存在であり、その職務は多岐にわたります。歯科医師としての専門知識や技術を活かし、自衛隊員の健康管理に貢献するとともに、災害時には医療活動にも従事します。自衛隊における歯科医療のプロフェッショナルとして、その責任と使命を果たすことが求められています。

脚注

注釈

自衛隊病院では、一部の保険外診療が患者の自己負担で実施可能です。
全ての隊員が自衛隊内で治療を受けているわけではなく、必要に応じて民間医療機関とも連携しています。

出典

防衛省自衛官募集ホームページ

関連項目

医官／軍医
技術曹／特技兵
衛生兵
自衛隊病院
防衛医科大学校病院
予備自衛官補
衛生科 (陸上自衛隊)
医務官
赤十字社

外部リンク

* 防衛省自衛官募集ホームページ-医科・歯科幹部自衛官

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