歳殺神

歳殺神（さいせつしん）

歳殺神は、陰陽道において重要な役割を担う八将神の一柱であり、方位の吉凶を司る神々の一人です。暦によっては「さいせつ」と表記されることもあります。この神は、仏教においては大威徳明王を本地仏とされており、八将神の中でも特に大将軍との関連性が指摘されています。

歳殺神の属性

歳殺神は、金星（太白星）の精とされ、陰気の極みであると考えられています。そのため、殺気を司り、万物を滅ぼす力を持つとされています。この神の存在する方位は、不吉とされており、その方角への移転、旅行、結婚、訴訟などは避けるべきとされています。これは、歳殺神が持つ破壊的な力が、これらの活動に悪影響を及ぼすと信じられているためです。

しかし、歳殺神は武を好む性質も持ち合わせています。そのため、歳殺神が在位する方角に向かって武器や刃物を手に入れることは吉とされています。これは、歳殺神の力が武具に宿り、持ち主を守護すると考えられているからです。

歳殺神の在位方位

歳殺神が在位する方角は、土の性質を持つ丑（うし）、未（ひつじ）、辰（たつ）、戌（いぬ）の方角とされています。歳殺神は常に同じ方角にいるわけではなく、その年の干支によって在位する方角が変わります。以下に、その年の干支と歳殺神が在位する方角の関係を示します。

• - 子（ね）年：未（ひつじ）の方角
• - 丑（うし）年：辰（たつ）の方角
• - 寅（とら）年：丑（うし）の方角
• - 卯（う）年：戌（いぬ）の方角
• - 辰（たつ）年：未（ひつじ）の方角
• - 巳（み）年：辰（たつ）の方角
• - 午（うま）年：丑（うし）の方角
• - 未（ひつじ）年：戌（いぬ）の方角
• - 申（さる）年：未（ひつじ）の方角
• - 酉（とり）年：辰（たつ）の方角
• - 戌（いぬ）年：丑（うし）の方角
• - 亥（い）年：戌（いぬ）の方角

歳殺神の在位する方角は、その年の吉凶を判断する上で重要な要素となります。特に、引っ越しや旅行といった移動を伴う行動の際には、歳殺神の在位方位を考慮に入れることが推奨されます。また、結婚や訴訟といった重要な事柄についても、歳殺神の力が影響を与えると考えられているため、慎重な判断が必要です。

歳殺神は、その名の通り、殺伐とした側面を持つ神ですが、武具に関しては吉をもたらすという両面性を持つ点が特徴的です。この神の存在は、古代の人々が自然の力や宇宙の運行に対して抱いていた畏敬の念と、それらが人々の生活に与える影響を深く認識していたことを示しています。

関連項目

• - 方位神
• - 八将神

歳殺神は、単なる迷信として片付けるのではなく、古代の知恵や文化を理解する上で重要な要素の一つです。現代においても、その概念は様々な形で受け継がれており、方位を気にする文化や、特定の場所や時期に行動を控える習慣などにその影響を見ることができます。歳殺神の知識は、歴史や文化をより深く理解するための手がかりとなるでしょう。

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