方位神

方位神とは、古代中国の占術である九星術を基に生まれた神々のことで、それぞれが特定の方位に存在し、その方位で行動を起こす人に吉凶の影響を与えると考えられています。これらの神々は、定められた規則に従って各方位を移動し、その結果として、ある方位が吉方位になったり、またある方位が凶方位になったりします。

方位神の概念

方位神の概念は、平安時代にはすでに広く知られており、人々は旅行や移転などの際に、その方角に存在する神々の影響を考慮しました。特に、凶方位へ向かうことを避けるために、「方違え（かたたがえ）」という風習が盛んに行われました。これは、目的地が凶方位にある場合、一旦別の方角へ行き、そこから目的地へ向かうことで、凶方位の影響を避けるというものです。

現代においても、方位神の信仰は続いており、多くの寺院や神社では「方位除け（方除け・八方除け）」の祈祷が行われています。これは、凶方位を犯すことによって起こるとされる災厄を避けるためのものです。

方位神の種類

方位神には、人々に吉運をもたらすとされる吉神と、凶運をもたらすとされる凶神が存在します。

吉神

歳徳神（恵方）：その年の福徳を司る神。特に、正月や節分にその方角を向いて事をすると良いとされる。恵方巻きの風習にも影響を与えている。
歳禄神：その年の財運を司る神。
月徳合：月の徳を司る神。
歳枝徳：その年の枝葉の徳を司る神。
歳徳合：その年の福徳を司る神。
生気：生命力を司る神。
奏書：願い事を叶える神。
天道：天の道を司る神。
天徳：天の徳を司る神。
天徳合：天の徳を司る神。
博士：学問や知識を司る神。

凶神

神殺：様々な災厄をもたらす神の総称。
天一神：天の中心を司る神だが、時に凶作用をもたらす。
金神（大金神・姫金神）：金属に関わる災厄をもたらす神。建築や金属加工には注意が必要。
八将神：八方位を司る凶神。
太歳神：普段は吉神だが、年によっては凶作用をもたらす。
大将軍：軍事や争い事を司る凶神。
太陰神：陰の気を司る神で、災厄をもたらす。
歳刑神：刑罰や災厄を司る神。
歳破神：その年の破壊を司る神。
歳殺神：その年の殺傷を司る神。
黄幡神：疫病や災害をもたらす神。
豹尾神：災厄をもたらす神。
方殺：方位による災厄をもたらす神。
本命殺：本命星によって定められる凶方位。
的殺（本命的殺）：本命星によって定められる凶方位。
暗剣殺：暗闇から災厄をもたらす神。
五黄殺：五黄土星が司る凶方位。
歳破：歳破神と同じ。
月破：月の破壊を司る神。
定位対沖：方位盤上で正反対に位置する凶方位。

その他の凶方位

鬼門：北東の方角。災厄が侵入しやすいとされる。
天門：南西の方角。鬼門と対になる方角。
都天殺：特に大きな災厄をもたらす方位。
白虎：災厄をもたらす方位。
死符：死に関わる災厄をもたらす方位。
病符：病気に関わる災厄をもたらす方位。
劫殺：奪われる災厄をもたらす方位。
災殺：災いをもたらす方位。
蚕室：家畜や作物に災厄をもたらす方位。
日遊神：日によって特定の場所に位置する神。その場所にいると災厄をもたらす。

関連事項

四天王：仏教における守護神で、方位神とは異なるが、方角を司る点では共通する。
* 十二天：仏教における守護神で、方位神とは異なるが、方角を司る点では共通する。

方位神は、単なる迷信として捉えることもできますが、その背景には、自然や宇宙のリズムを生活に取り入れようとする古代人の知恵が隠されています。現代においても、方位を気にすることは、自身の行動を見つめ直し、より良い方向へ進むためのきっかけとなるかもしれません。

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